白い皿の方がデザートは甘く感じる?黒いお皿だと・・・?
- 笙子 太田
- 13 時間前
- 読了時間: 5分
こんにちは。
インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。
先日、お客様との打ち合わせで器の話になりました。
「料理の味は同じなのに、お皿を変えたら美味しそうに見えたんです」
思わず「そうなんですよ!」とテンション上がってしまいました。
面白いことに、お皿を変えると見た目だけではなく、味の感じ方まで変わることがあります。
今日はそんな「器の色と味覚」の不思議なお話です。
同じケーキなのに甘さが変わる?
同じショートケーキを、白い皿と黒い皿にそれぞれのせたとします。
料理は何ひとつ変えていない。変わるのは皿の色だけ。
それなのに、受け取る印象はまったく違います。
これは感覚的な話ではなく、研究でも報告されていることです。
近畿大学農学部の冨田圭子准教授らは、「背景色とおいしさ」の関係を「喫食環境とおいしさの科学」として体系的にまとめており、2025年6月の第56回日本色彩学会全国大会では、皿のリムの色や太さが料理の量感に影響を与えることも発表されています。
(出典:近畿大学農学部 教員業績管理システム)
つまり私たちは、器の色から「甘そう」「濃厚そう」「贅沢そう」という情報を無意識に読み取っています。舌だけではなく、目でも食べているわけです。
白い皿はなぜ甘く感じるのか
白い皿には、食材の色を際立たせる効果があります。
ショートケーキなら真っ赤なイチゴ、モンブランなら栗の色、チョコレートケーキなら濃厚なブラウン・・・これらがより鮮やかに見えます。
さらに白には清潔感や軽やかさを連想させる効果があります。
そのためデザートの繊細さや優しさが伝わりやすくなる。
白い皿はどんな料理にも映える万能カラーで、料理の色彩が際立つため、付け合わせを豊富に用意しなくても1皿が美しくまとまりやすいと言われています。(出典:プレコネクスト「料理に使う食器がもたらす効果」2023年4月) Digima〜出島〜
カフェやパティスリーで白い器が多いのは、こうした視覚効果をちゃんと活かしているからだと思います。
では黒い皿だとどうなるのか
一方、黒い器にはまったく違う魅力があります。
同じチョコレートケーキでも、白い皿では「甘くて美味しそう」に見えるのに対し、黒い皿では「濃厚そう」「大人っぽい」「高級そう」という印象に変わります。
黒い皿は料理の色とのコントラストが際立つため料理が最も美しく見えると言われており、料理を高級に見せる効果があることから、普通のメニューでも印象が一変するという特性があります。(出典:同上) Digima〜出島〜
最近、高級レストランやホテルのアフタヌーンティーで黒い器を見かけることが増えたのも、この演出効果を意識しているからだと思います。
甘さを強調するというより、「価値を高めて見せる」ための色と言えるでしょう。
フード撮影でも、器選びにはかなり時間をかける
撮影現場で実感するのですが、器は「背景」ではなく「料理の一部」です。
和菓子を例にとると、白い皿にのせると上品で爽やかになります。
黒い皿にのせると高級感が出ます。
木の器なら温かみが生まれる。
同じ商品なのに、受け取る印象がまったく違う。
「こっちの方が美味しそうですね」と、器を変えただけで言われる瞬間は、撮影現場で本当によくあります。
だからこそ器選びには、毎回かなり丁寧に向き合っています。
インバウンド向け撮影では、器が「文化を伝える道具」になる
インバウンド向けの撮影では、器選びはさらに重要な意味を持ちます。
海外のお客様は料理そのものだけではなく、日本らしい世界観も一緒に見ています。
黒、白、漆、陶器、木目といった要素が「日本らしさ」を感じさせ、それが来店動機や購買意欲につながることがあります。
私が海外向けの料理撮影を行う際は、料理だけではなく器も含めて文化を写し込むことを意識しています。写真は世界共通の言語ですが、器という要素を通じて文化の奥行きまで伝えることができる、と思っているからです。
器は「どんな美味しさを伝えたいか」を決める道具
料理人にとって料理が作品なら、器は額縁です。そしてフードカメラマンにとっても、器は光と同じくらい重要な演出道具です。
白い皿なら甘さや軽やかさを。黒い皿なら高級感や重厚感を。木の器なら温もりを。
大切なのは「どちらが正解か」ではなく、「その料理をどんなふうに感じてほしいか」です。
器選びは単なるデザインではなく、食体験全体を設計する作業だと思っています。
商品写真やメニュー写真でお悩みの方は、一度器や色の選び方にも目を向けてみてください。意外なところに、大きな変化のヒントが隠れているかもしれません。
まとめ
白い皿の方がデザートを甘く感じることがある。
一方で黒い皿は高級感や濃厚さを演出する。
どちらが正解というわけではありません。
大切なのは、その料理をどのように感じてもらいたいかです。
私自身、フードカメラマンとして数多くの料理撮影・食品撮影・商品撮影を行う中で、「器ひとつで印象が変わる瞬間」を何度も見てきました。
もし商品写真やメニュー写真で悩まれている方は、一度器や色の選び方にも目を向けてみると、新しい発見があるかもしれません。
【参考文献】
Piqueras-Fiszman, B., Alcaide, J., Roura, E., & Spence, C. (2012). Is it the plate or is it the food? Assessing the influence of the color of the plate on the perception of the food served on it. Food Quality and Preference.



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