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世界から見ると日本人は食に熱狂する民族

  • 執筆者の写真: 笙子 太田
    笙子 太田
  • 7月8日
  • 読了時間: 5分

こんにちは。インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。


先日、テレビ番組で海外の方々が日本の食文化について語っている場面を見ました。

その中でとても印象的だったのが、

「日本人ほど食べ物に詳しい国民を見たことがない」

という言葉でした。


たしかに言われてみると、日本人は食べ物について驚くほど細かく語ります。

牛肉ひとつとってもそうです。

ロース、サーロイン、リブロース、肩ロース、イチボ、ランプ、ミスジ、カイノミ。

焼肉屋さんで当たり前のように部位を指定して注文します。(トルコでは牛肉は「牛肉」だけで部位に分けて認識しないようです)


さらに寿司屋では、

「今日は中トロより赤身が美味しいね」

という会話まで飛び交います。

もちろん海外にも肉の部位の分類はあります。

しかし、日本のように一般消費者レベルまで浸透している国は決して多くありません。

海外から見ると、日本人はかなり特殊なほど食べ物に興味を持つ民族に映るようです。



「2時間待ちだけど食べたい」が成立する国

日本を訪れた外国人が驚くことのひとつに、行列文化があります。

多くの国では、「並ぶくらいなら別の店に行こう」

という考え方が一般的です。


ところが日本では違います。

「2時間待ちだけど食べたい」

が成立します。


新しいラーメン店。話題のスイーツ。人気ベーカリー。

私たちはその味を体験するために時間を使います。

面白いのは、その文化が海外へも輸出されていることです。

日本発のラーメン店やスイーツブランドが海外進出すると、現地でも長い行列ができることがあります。

輸出されているのは商品だけではありません。

「美味しいもののためなら並ぶ価値がある」

という日本的な価値観まで一緒に広がっているのです。



なぜ日本には季節限定商品がこんなに多いのか

海外の方が日本のコンビニやスーパーを訪れると、よく驚くそうです。

「どうして同じ商品をずっと売らないの?」

と。

たしかに日本には季節限定商品が溢れています。

春は桜。

夏は桃やマンゴー。

秋は栗やさつまいも。

冬はいちごやチョコレート。

などなど。。。


気づけば同じ商品でもパッケージや味が次々と変わります。

海外では定番商品を長く販売することが一般的ですが、日本人はむしろ、

「今しか買えない」

に価値を感じます。

これは四季が明確な気候だけが理由ではありません。

日本人には昔から季節そのものを楽しむ文化があります。

春は桜を眺め、

夏は鮎を味わい、

秋は松茸を楽しみ、

冬は蟹を囲む。

食べ物を通して季節を感じることが、日本人にとっての豊かさの一部になっているのです。



日本人は「物語」を食べている

私はフードカメラマンとして仕事をしていて、ここに日本の食文化の大きな特徴があると感じています。

日本人は食べ物そのものだけでなく、その背景にある物語にも価値を感じます。

例えば同じりんごでも、

「青森県産です」

という説明より、

「猛暑の中で農家さんが守り抜いたりんごです」

と言われた方が魅力を感じませんか。

変わったのはりんごではありません。

知った物語です。

以前、「売れる食品には主人公がいる」という記事を書きました。

日本人は昔から、食べ物の向こう側にいる人や土地、歴史や季節に価値を見出してきました。

だからこそ、

職人、産地、旬、熟成、秘伝

といった言葉に惹かれます。

単なる機能や価格だけではなく、その背景にあるストーリーを楽しんでいるのです。



日本人にとって食事は文化体験

観光庁の訪日外国人消費動向調査でも、多くの訪日客が「日本食を食べること」を旅行の大きな目的として挙げています。

海外の人が日本を訪れて感動するのは、料理の味だけではありません。

どこで食べるか。

誰と食べるか。

どんな器で提供されるか。

どんな季節に食べるか。

そこまで含めて一つの体験になっていることです。

食事が単なる栄養補給ではなく、文化そのものになっている。

だから世界中の人が日本の食に惹かれるのだと思います。



フードカメラマンの仕事は文化を翻訳すること

私はインバウンド向けの撮影をするとき、単純に料理を綺麗に撮ろうとは考えていません。

海外のお客様が知りたいのは、「この料理は何か」だけではないからです。


「なぜ日本人はこれを大切にしているのか」

「なぜこの食材を選ぶのか」

「なぜこの盛り付けなのか」

そんな文化的背景に興味を持っています。

実際、海外向けの写真では、日本人向けとは色使いや見せ方も変わります。文化によって「美味しそう」に感じるポイントは異なるからです。

だから私は、フードカメラマンの仕事は料理を撮ることではなく、日本人が食に込めている価値観や美意識を翻訳することだと思っています。

世界から見れば、日本の食は単なるグルメではありません。

それは一つの文化コンテンツです。

そして、その文化を伝えることこそが、これから海外へ挑戦する日本の飲食店や食品メーカーにとって大きな武器になるのではないでしょうか。

インバウンド・海外展開特化のフードカメラマンとして、これからも「食に、物語を。」をテーマに、日本の食文化の魅力を世界へ伝えていきたいと思います。



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