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器の向き一つで料理の格が変わる理由〜料理は器の上で完成する〜
こんにちは。インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 料理の撮影をしていると、お客様からこんな質問をいただくことがあります。 「器って、どちら向きでも同じじゃないんですか?」 実は、この質問に対する答えは「違います」。 もちろん、すべての器に決まりがあるわけではありません。 でも、日本の和食器には「こちらを正面にして使ってほしい」という、作り手の意図が込められているものが数多くあります。 そして、その向きを理解して撮るかどうかで、料理の印象は大きく変わることがあります。 ■ 器にも「正面」がある 以前、陶芸作家さんの作品を撮影させていただいたときのことです。 器を手に取ると、作家さんが静かにこう教えてくださいました。 「こちらが正面になります。」 最初は、「どこが違うのだろう?」と思いました。 でもよく見ると、釉薬の流れ方や模様の入り方、高台の位置まで、すべて計算されていました。 一番美しく見える角度。 料理を盛り付けたときに、一番映える方向。 そこまで考え抜いて、一つの器が作られていたのです。 私はそのとき初めて、「器にも顔
笙子 太田
8月27日読了時間: 4分


なぜ和菓子には「季節」があるのか〜フードカメラマンが知った、日本人が「四季を食べる」理由〜
こんにちは。インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 昔、和菓子の撮影をしていたときのことです。 「この和菓子は、まだ少し季節が早いんですよ。」 そう教えていただきました。 まだ桜も咲いていないのに(というか撮影しているときは1月でした)桜の和菓子を撮っているのです。 でも、この一言をきっかけに、日本人の季節の楽しみ方について改めて考えるようになりました。 実は、和菓子には日本人ならではの美意識が詰まっているのです。 ■ 日本人は「今」ではなく「少し先の季節」を楽しむ 和菓子の世界では、「季節を先取りする」ことが美しいとされています。 春になる少し前には桜を。 梅雨が来る前には紫陽花を。 秋が深まる前には紅葉を。 冬になる前には雪景色を。 実際の自然よりも一歩早く季節を表現することで、「もうすぐこの季節がやってくる」という期待感を楽しんでいます。 これは日本の伝統文化によく見られる考え方です。 茶道や華道、俳句でも、その季節が真っ盛りになる頃ではなく、「訪れ始め」や「移ろい」を大切にします。 だから和菓子も、「今」を写したもの
笙子 太田
8月26日読了時間: 4分


和菓子は"正面"を間違えると伝わらない
こんにちは。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 「和菓子に正面なんてあるの?」 そう思った方も多いのではないでしょうか? 私もフード撮影の仕事を始めるまでは、そこまで深く意識したことはありませんでした。 先日、和菓子の撮影をしていたときのことです。 お皿の向きや懐紙の折り方を確認しながら準備を進めていると、「この和菓子は、こちらが正面です」と教えていただきました。 その瞬間、改めて感じたのです。 和菓子は「食べ物」である前に、「作品」でもあるのだと。 そして、その作品を写真に残すのであれば、作り手が見せたい姿を理解して撮ることがとても大切なのだと実感しました。 ■ 和菓子には「見せたい向き」がある 洋菓子は360度どこから見ても美しく見えるように作られることが多いですが、和菓子には正面が意識されているものが少なくありません。 例えば、桜を表現した練り切りなら花びらが一番美しく見える向きがあります。 紅葉を表現したものなら、葉脈の流れや色の重なりが最も映える角度があります。 羊羹や上生菓子でも、職人さんは「お客様が最初に
笙子 太田
8月2日読了時間: 4分


【プレスリリース配信】止まらない原材料高騰。価格ではなく「料理の価値」を伝える“器”の販売を開始しました
こんにちは。株式会社Light&Green代表・インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 このたび、弊社の新しい取り組みについて、PR TIMESよりプレスリリースを配信いたしました。 今回発表したのは、「料理を美しく見せる器」をセレクト・販売する新しいプロジェクトです。 「なぜフードカメラマンが器を販売するの?」そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。 実は、この取り組みは私がこれまで1,000件以上の料理・食品撮影に携わる中で、ずっと感じ続けてきたことから生まれました。 同じ料理なのに、器が変わるだけで「高級そう」「食べてみたい」「このお店に行ってみたい」という印象が驚くほど変わる。 撮影現場では何度もそんな瞬間を目の当たりにしてきました。 料理写真を撮る仕事をしていると、ライティングや構図以上に、「どんな器に盛り付けるか」が料理全体の印象を左右する場面が数多くあります。 つまり、料理の価値を最も引き出しているのは、実はカメラではなく器なのではないか。 そんな思いが年々強くなっていきました。 今、飲食業界や食品業界では
笙子 太田
7月31日読了時間: 3分


懐紙の折り方一つで慶事と弔事が変わる〜フードカメラマンが撮影現場で学んだ日本文化〜
こんにちは。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 撮影では構図ばかり気にしてしまいがちですが、日本文化には「知らなかった」では済まされないルールがあります。 先日、和菓子の撮影をしていたときのことです。 お皿やお菓子の向きはもちろんですが、添える懐紙(かいし)の折り方について改めて確認していました。 すると、「懐紙って折り方にルールがあるんですか?」と驚かれたんです。 実は、懐紙はただの白い紙ではありません。 折り方一つで、お祝いの席なのか、お悔やみの席なのかという意味まで変わってしまうことがあります。 私はフードカメラマンとして和菓子や和食の撮影をする機会も多いのですが、日本文化を正しく理解して撮影することも、大切な仕事の一つだと感じています。 懐紙の折り方で意味が変わる 懐紙は茶道や和菓子の世界で古くから使われてきた紙です。 料理やお菓子を置いたり、取り皿代わりにしたり、口元を拭いたりと、用途はさまざまです。 一見するとどれも同じ白い紙に見えますが、実は折り方には意味があります。 一般的には、上側が手前に重なる折り方
笙子 太田
7月29日読了時間: 4分


なぜシズル写真を見るとお腹が空くのか?〜「美味しそう」は、料理ではなく脳が作っている〜
こんにちは。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 夜中にスマートフォンでSNSを見ていたら、ラーメンの写真が流れてきて急にお腹が空すいた。 テレビで焼肉のCMを見たら、「今日は焼肉にしよう」と思った。 そんな経験はありませんか? 実はその時、あなたは料理を食べていません。 それなのに、お腹が空いています。 この現象こそが、シズル写真(動画)の力です。 私はフードカメラマンとして数多くの料理写真を撮影していますが、「美味しそう」という感情は、料理そのものではなく、脳が作り出しているものだと日々感じています。 「シズル」とは何か? 「シズル(Sizzle)」という言葉は、もともと肉を焼いたときの「ジュージュー」という音を表す英語です。 マーケティングの世界では、その言葉が転じて、「食欲をかき立てる演出」全般を意味するようになりました。(私も最初は「しずる」って何者?!よくわからん!と思っていました) つまりシズル写真とは、単に料理を記録した写真ではありません。 見た人が思わず、 「食べたい」「美味しそう」「今すぐ行きたい
笙子 太田
7月23日読了時間: 4分


世界から見ると日本人は食に熱狂する民族
こんにちは。インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 先日、テレビ番組で海外の方々が日本の食文化について語っている場面を見ました。 その中でとても印象的だったのが、 「日本人ほど食べ物に詳しい国民を見たことがない」 という言葉でした。 たしかに言われてみると、日本人は食べ物について驚くほど細かく語ります。 牛肉ひとつとってもそうです。 ロース、サーロイン、リブロース、肩ロース、イチボ、ランプ、ミスジ、カイノミ。 焼肉屋さんで当たり前のように部位を指定して注文します。(トルコでは牛肉は「牛肉」だけで部位に分けて認識しないようです) さらに寿司屋では、 「今日は中トロより赤身が美味しいね」 という会話まで飛び交います。 もちろん海外にも肉の部位の分類はあります。 しかし、日本のように一般消費者レベルまで浸透している国は決して多くありません。 海外から見ると、日本人はかなり特殊なほど食べ物に興味を持つ民族に映るようです。 「2時間待ちだけど食べたい」が成立する国 日本を訪れた外国人が驚くことのひとつに、行列文化があります。...
笙子 太田
7月8日読了時間: 5分


なぜ人は成分ではなく物語で食べ物を選ぶのか
こんにちは。インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 先日、麹甘酒の撮影をしていた時のことです。 商品の開発背景を伺っていると、こんなお話を聞きました。 「もともと甘いものが止まらなかったんです。」 クッキーやチョコレートを毎日のように食べていた女性が、ある日甘酒に出会った。 そして少しずつ生活が変わっていった。 私はその話を聞いた瞬間に思いました。 人は商品を買っているようで、実は物語を買っているのではないか、と。 もしこれが、 「米麹100%です」「砂糖不使用です」 という説明だけだったらどうでしょう。 もちろん商品の魅力は伝わります。 でも正直なところ、記憶には残りにくいかもしれません。 一方で、 「甘いものがやめられなかった女性が出会った甘酒」 と言われると、少し気になりませんか。 そこには人の人生があるからです。 私たちは成分表で商品に惹かれない 考えてみると不思議な話です。 スーパーには似たような商品が並んでいます。 同じような原材料。 同じような価格帯。 同じようなパッケージ。 それでも売れる商品とそうでない商品
笙子 太田
6月30日読了時間: 5分


売れる食品には必ず「主人公」がいる
こんにちは。インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 これまで数え切れないほどの食品や料理を撮影してきました。 高級レストランのコース料理。 地方の特産品。 老舗の和菓子。 新しく立ち上がった食品ブランド。 その中で気づいたことがあります。 売れる食品には、必ず「主人公」がいる。 ということです。 もちろんここでいう主人公とは、商品のことではありません。 実は、商品そのものが主人公になっているケースは意外と少ないのです。 商品は脇役かもしれない 食品の紹介というと、私たちはつい商品の特徴を説明しがちです。 糖度が高い。 無添加である。 有機栽培である。 栄養価が高い。 もちろん、それらは大切な情報です。 でも、それだけで人の心が動くとは限りません。 例えば、同じ傷のついたりんごがあったとします。 「規格外のりんごです」 と言われると、少し価値が下がったように感じるかもしれません。 でも、 「去年の猛暑の中、農家さんが必死に守り抜いたりんごです」 と言われたらどうでしょう? 急に見え方が変わりませんか。 応援したくなる人もいると
笙子 太田
6月15日読了時間: 5分
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