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フード撮影は「料理人の目線」で考える〜料理写真の説得力が変わる瞬間 〜
こんにちは。 日本の食を世界に届けるフードカメラマン、太田笙子です。 フード撮影の現場に入るとき、私がまず考えるのは 「この料理人は、どこを見せたいんだろう」ということです。 カメラの設定でも、ライティングの組み方でもなく、まずそこから始めます。 これ、最初は意外に思われるかもしれません。 でも、フードカメラマンとして現場を重ねてきた実感として、 「カメラマン目線だけで撮った写真」は、どこかズレることが多いんです。 ■ 写真が、集客の入り口になっている時代 少し話が広がりますが、飲食店のSNS活用に関する調査(株式会社シンクロ・フード「飲食店リサーチ」、2024年5月)によると、飲食店の79.1%がInstagramを運用しており、98.6%が自店で運用しているという結果が出ています。 つまり、ほぼすべての飲食店がSNSで写真を発信している時代です。 一方で、飲食店を選ぶ際に 「写真・動画(料理のビジュアル、店内の様子など)」を参考にすると回答した人は41.3%に上っており(株式会社itk調べ、2024年12月)、お客様もまた写真を見てお店を判断
笙子 太田
1 日前読了時間: 4分


フード撮影は「料理人との会話」で決まる 〜良い料理写真は撮影前に決まっている 〜
こんにちは。 料理撮影・食品撮影を専門にしているフードカメラマン、太田笙子です。 フード撮影の仕事をしていると、 「写真って、やっぱり技術が全てですよね?」と聞かれることがあります。 確かに、技術は大切です。 でも現場に立ち続けてきた経験から言うと、 良い料理写真を生み出す上で技術よりもずっと重要なことがある。 それが、料理人との会話です。 ■ 良い写真は、撮影前に半分決まっている 撮影が始まる前に料理人と話す時間があります。 この時間を大切にするかどうかで、仕上がりの写真は大きく変わります。 「この料理のコンセプトは何ですか?」 「一番見せたいポイントはどこですか?」 「お客様にどんな印象を持ってほしいですか?」 こういった質問をしながら、写真の方向性を一緒に整えていきます。 料理人との対話を経ずに撮った写真と、そうでない写真は、 見た目のクオリティは似ていても、何かが違う。 その「何か」が、見る人の心を動かすかどうかを分けると、私は思っています。 ■ 料理人のこだわりは、写真のヒントになる 実際に料理人の方と話していると、撮影の方向性を決定づ
笙子 太田
4 日前読了時間: 4分


フード撮影は「料理の知識」で差がつく〜料理カメラマンに必要な、もうひとつの専門性 〜
こんにちは。フードカメラマンの太田笙子です。 料理撮影の仕事をしていると、 「写真の技術がいちばん大事なんですよね?」 と聞かれることが少なくありません。 もちろん、それは大前提です。 ただ、現場を重ねるうちにわかってきたことがあって・・・ それが、料理の知識がない人には、おいしい写真は撮れない、ということ。 今日はその話をしようと思います。 ■「なんとなく綺麗」で終わってしまう写真の正体 料理撮影の現場では、常に判断の連続です。 どの角度が食欲をそそるか、 どの部分を主役にするか、 どこを見せてどこを隠すか ・・・これらはカメラの設定だけで解決できる問題ではありません。 たとえば刺身とラーメンとステーキ、 それぞれ「おいしそうに見えるポイント」はまったく違います。 刺身なら断面の艶と色、 ラーメンなら麺の持ち上げ方と湯気のタイミング、 ステーキなら焼き色の入り方と断面のレア感。 料理の構造や食べ方を知っている人ほど、そこを自然にフレームに収めることができます。 料理の知識がないと、「なんとなく綺麗な写真」は撮れます。 でも、
笙子 太田
6 日前読了時間: 5分


料理写真はなぜ「器」が重要なのか〜フードカメラマンが料理と同じくらい器を見る理由〜
こんにちは。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 料理が運ばれてきた瞬間、私がまず目を向けるのは料理だけではありません。 最初に確認するのは、器です。 「それって、まずは料理でしょ?」と思われるかもしれません。 でも、器を正しく選べていない料理写真は、どれだけ腕をふるった料理でも、画面の中で"なんとなく地味"な印象になってしまうんです。 今日はその理由を、現場のリアルな視点からお伝えします。 「おいしそう」は、視覚が決める 突然ですが、ひとつ質問をさせてください。 料理の「おいしさ」って、どこで感じると思いますか? 実は、食事の満足感を感じる五感の割合として、視覚が83〜87%を占めるとされています。味覚が占めるのはわずか1%程度。 こうした多感覚知覚の研究は近年急速に進んでいて、「見た目がおいしさをつくる」という考え方は、いまや食品科学の世界でも広く認められるようになってきています。 さらに、食事の感覚的満足感において、 料理そのものが占める割合は約5%、 食器・カトラリーは約25%、 残り約70%は食空間の環境(テー
笙子 太田
4月29日読了時間: 6分


料理カメラマンは「食いしん坊」のほうが強い
こんにちは。 料理撮影・食品撮影を専門にしているフードカメラマン、太田笙子です。 今日は少し、私が仕事をするなかでずっと感じていることを書いてみます。 それは・・・料理カメラマンは"食いしん坊"のほうが強い ということ。 笑い話に聞こえるかもしれませんが、これは本気です。 むしろ、撮影の仕事を続けるほどに、そう確信しています。 料理の魅力に気づく力は、食べた記憶から来る 食べることが好きな人は、料理を見たとき、自然に「美味しそう」「食べたい」「あ、いい香りがしそう」と感じます。 この感覚、実はフード撮影においてとても重要なのです。 というのも、料理写真を見る人も、まったく同じように感じているから。 写真を撮る側と、写真を見る側が同じ感覚を持っているということは、撮影者がその感覚を持っていなければ、見ている人の気持ちには届きにくい。。 私はそう考えています。 研究の観点からも、食べ物の視覚情報が食欲に強く影響することは確認されています。 2023年のオックスフォード大学のCalifano & Spence(Food Quality and Pref
笙子 太田
4月27日読了時間: 3分


パステルカラーの広告撮影で「印象に残る」写真を撮るには?〜イースター・春シーズン撮影のコツを徹底解説〜
パステルカラーって、写真にするとなんかぼんやりしちゃうんですよね」 撮影のご相談をいただくとき、こういう声をよく聞きます。 わかります!すごくわかります! 淡い色は確かに難しい。 でも実は、ポイントを押さえれば、パステルカラーの撮影こそ、見た人の記憶にじんわりと残る広告写真になるんです。 私、太田笙子はフードカメラマンとして、飲食店や食品ブランドの広告撮影を手がけてきました。 イースターシーズンの撮影は毎年ご依頼が増えるテーマのひとつ。 今回は、淡い色合いの装飾が多い春シーズン撮影で、印象のある広告写真をつくるためのポイントをまとめました。 そもそも、なぜパステルカラーは「弱い写真」になりやすいのか まず、なぜぼんやりした仕上がりになりやすいのかを知っておくと、対策が立てやすくなります。 パステルカラーとは、白をたくさん混ぜた高明度・低彩度の色のこと。 ピンク、ラベンダー、ミントグリーン、バターイエロー・・・ どれも美しい色ですが、彩度が低い分、写真の中で埋もれやすい性質を持っています。 さらに、柔らかい光と組み合わせると、全体がフラットに見えて
笙子 太田
4月5日読了時間: 7分


なぜ料理写真は「左側から光」が多いのか〜フードカメラマンが光の向きを決めるときの考え方〜
こんにちは。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 料理撮影の現場を見た方から、よくこう聞かれます。 「どうして料理写真って左から光が当たっていることが多いんですか?」 確かに、料理写真を見ると 左側から光が来ている写真が多いことに気づきます。 ただし、これは単なるルールではありません。 実はフードカメラマンは、 料理ごとに 「光の向き」を設計している のです。 今日は、料理撮影において 光の向きがどのように決まるのかを解説してみたいと思います。 料理の立体感は「影」で決まる 料理写真で一番大切なのは、 立体感 です。 例えば ・ハンバーグ ・ステーキ ・ケーキ ・パン こうした料理は、 影があることで厚みや高さが伝わります。 もし正面から均一に光を当ててしまうと、 料理は平面的になり 美味しそうに見えなくなることがあります。 そのため料理撮影では、 ・斜めから光を当てる ・影をコントロールする という方法がよく使われます。 光の向きで料理の印象が変わる 光の方向が変わると、 料理の見え方は大きく変わります。 例えば 逆光
笙子 太田
4月3日読了時間: 2分


なぜ海外ブランドは写真に何百万円もかけるのか— ビジュアルが売上を左右する理由 —
こんにちは。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 海外ブランドの広告やECサイトを見ると、 「写真がとにかく美しい」 と感じたことはありませんか? 実は多くの海外ブランドでは、 商品写真や料理写真の制作に 数百万円規模の予算 がかけられることも珍しくありません。 なぜそこまで投資するのでしょうか。 理由① 写真は24時間働く営業だから ECサイトでは、 店員さんはいません。 代わりに働くのが 写真 です。 写真は ・商品の価値 ・価格帯 ・ブランドイメージ を数秒で伝えます。 つまり写真は 営業・広告・接客を同時に行う存在 なのです。 理由② ブランド価値はビジュアルで決まる 同じ商品でも、 写真の見せ方によって ・5,000円に見える ・50,000円に見える という差が生まれます。 高級ブランドほど、 ビジュアルの統一感を徹底しています。 ・色 ・光 ・背景 ・世界観 これらが揃うことで、 ブランドの価値が伝わります。 理由③ SNS時代は「写真が広告」 現在、多くの商品は SNS EC 広告 で販売されています。
笙子 太田
4月2日読了時間: 2分


なぜ私は“ひとりのフードカメラマン”で終わらなかったのか。チームで撮るという選択
フード撮影は、感性の仕事です。 だからこそ、「自分が撮らないと意味がない」そう思っていました。 でも、1,000件以上の料理撮影・食品撮影を経験する中で、あることに気づきました。 本当に価値があるのは、 “自分が撮ること”ではなく、“価値を再現できること” だと。 フード撮影は“偶然の芸術”ではいけない 料理は毎回状態が違います。 火入れの秒数、湯気の上がり方、ソースのとろみ、盛り付けの重心 それをその場の感覚だけで撮っていたら、再現性はありません。 しかし企業様にとって必要なのは、“奇跡の1枚”ではなく、 安定して成果を出すビジュアル設計 です。 特にインバウンド向け、海外EC向け、多拠点展開しているブランド様にとっては「どこで撮ってもブランドが崩れない」ことが重要になります。 なぜチーム化したのか 私が率いる株式会社Light & Green には、全国にフードカメラマンが在籍しています。 理由はシンプルです。 1人では、ブランドを“面”で守れないから。 例えば、 ・東京と大阪で同時撮影 ・全国チェーンの統一ビジュアル ・急な大量案件 これ
笙子 太田
4月1日読了時間: 3分


ブランド立ち上げ時に失敗する商品写真— 実はよくある3つのパターン —
新しく食品ブランドや洋菓子ブランドを立ち上げるとき、 「まずは写真を用意しよう」 と考える方は多いと思います。 しかし実際の現場では、 写真の方向性が決まっていないまま撮影してしまう ケースも少なくありません。 その結果、 SNS、EC、広告 すべてで使いづらい写真になってしまうことがあります。 ここでは、ブランド立ち上げ時によくある商品撮影の失敗パターンをご紹介します。 ①背景がバラバラ 意外と多いのが 写真ごとに背景が違うケースです。 例えば ・白背景 ・木のテーブル ・カフェ風 ・大理石 などが混ざると、 ブランドとしての統一感がなくなります。 写真は綺麗でもブランドとして覚えてもらいにくくなります。 ②パッケージが主役になっていない 洋菓子ブランドの場合、商品と同じくらい重要なのが パッケージデザイン です。 しかし撮影によっては ・お菓子ばかり目立つ ・パッケージが小さい ・ロゴが見えない ということがあります。 ブランド写真では パッケージも主役 にする必要があります。 ③SNSとECを同じ写真で済ませる ECとSNSでは、写真の役割
笙子 太田
3月26日読了時間: 2分


高級感のあるスイーツ写真の設計— 500円に見える写真と、1500円に見える写真の違い —
同じスイーツでも、 500円に見える写真1500円に見える写真 があります。 これは決して大げさな話ではありません。 料理撮影や商品撮影の現場では、 写真によって商品の価格イメージが変わる ことはよくあります。 では、高級感のあるスイーツ写真とはどんな写真なのでしょうか。 フードカメラマンとして撮影している現場から、いくつかのポイントをご紹介します。 ①光が強すぎない スイーツ撮影でよくある失敗が 「明るすぎる写真」 です。 明るくすれば綺麗になると思いがちですが、実は高級感は 適度な陰影 によって生まれます。 ・立体感 ・質感 ・奥行き これらが出ることで、スイーツの存在感が強くなります。 ②色を増やしすぎない 高級感のある写真は、実は 色数が少ない ことが多いです。 例えば ・背景 ・器 ・小物 これらの色が多すぎると、写真は賑やかになります。 しかし 高級感は 静かな画面 から生まれます。 例えば ・ベージュ ・グレー ・木 ・石 などの落ち着いた素材はスイーツの上品さを引き立てます。 ③余白を恐れない スイーツ写真では 「画面を埋めたくな
笙子 太田
3月25日読了時間: 2分


キッチンツールは「物撮り」では売れない理由〜商品だけを撮っても伝わらないもの〜
こんにちは。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 キッチンツールの撮影をご相談いただくとき、よくあるご要望があります。 「まずは白背景の物撮りをお願いします」 もちろん、ECサイトでは商品単体の写真は必要です。 いわゆる物撮り(ぶつどり)と呼ばれる撮影ですね。 ただ、実際に海外向けの商品撮影や食品撮影の現場で感じるのは、 キッチンツールは物撮りだけでは売れない ということです。 なぜなら、キッチンツールは 「使う道具」 だからです。 今日は、その理由についてお話ししたいと思います。 ① キッチンツールは「用途」が分からない 例えば、 ・巻き簀(まきす) ・出汁こし ・骨抜き ・業務用トング こうした道具は、日本では当たり前でも、海外では用途が分からないことが多いです。 物撮りで単体写真を見せても、 「これは何の道具だろう?」 で終わってしまうことがあります。 私がフードカメラマンとして海外向けの商品撮影を行うときは、 必ず使用シーンを考えます。 例えば巻き簀なら 海苔・酢飯・具材・巻いている手元 こういった要素を入れるこ
笙子 太田
3月22日読了時間: 4分


フードカメラマンとは|料理撮影のプロの仕事
レストランのメニュー写真。食品メーカーの広告。ECサイトの商品ページ。 私たちが日常的に目にしている「食べ物の写真」の多くは、フードカメラマン(料理カメラマン)によって撮影されています。 スマートフォンでも綺麗な写真が撮れる時代になりました。 それでも、レストランや食品ブランドがプロのカメラマンに依頼する理由があります。 なぜなら料理写真は、 ただ撮るだけでは魅力が伝わらない からです。 光、温度感、質感、器、スタイリング、さらには文化的背景まで。 料理撮影は、さまざまな要素を設計してはじめて完成します。 この記事では、 フードカメラマンとはどんな仕事なのか を、料理撮影の現場の視点から解説します。 フードカメラマンとは フードカメラマンとは、 料理・食品・食に関わるビジュアルを専門に撮影するカメラマン のことです。 料理撮影は一般的な商品撮影とは大きく異なります。 例えば、フード撮影では次のような要素を考えながら撮影します。 ・料理を最も美味しそうに見せる光の設計 ・温度や香りまで感じさせる表現 ・食文化やブランドの世界観の理解 ・料理人やブラ
笙子 太田
3月21日読了時間: 6分


海外向け商品撮影は「工程写真」が重要な理由〜なぜ“作っている途中”を撮ると売れるのか〜
こんにちは。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 海外向けECの商品撮影をご依頼いただくとき、私がよくご提案するのが 「工程写真(プロセス写真)」を撮りましょう ということです。 工程写真とは、 ・調理の途中 ・使っている瞬間 ・作業している手元 など、 完成までのプロセスを見せる写真 のこと。 日本のECでは、商品単体の写真だけでも成立することが多いですが、海外ECではそれだけでは十分に伝わらないことが少なくありません。 今日は、なぜ海外向け商品撮影で工程写真が重要なのかをお話ししたいと思います。 ① 海外ユーザーは「写真」で理解する 海外ECでは、日本よりも 写真で商品を理解する 傾向が強いと言われています。 言語や文化が異なるため、説明文を細かく読まないユーザーも多いからです。 そのため、 ・何をする道具なのか ・どう使うのか ・どんな結果になるのか が写真で分かることがとても重要になります。 例えば、 巻き簀(まきす)。 日本人なら見ただけで「寿司を巻く道具」と分かります。 でも海外ユーザーには、 ただの竹のマッ
笙子 太田
3月20日読了時間: 4分


海外ECで売れるキッチンツール写真の作り方〜「商品写真」だけでは売れない理由〜
こんにちは。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 海外向けにキッチンツールを販売している企業様から、撮影のご相談をいただくことが増えてきました。 そのときによくあるのが、 「とりあえず白背景の商品写真を撮ればいいですよね?」 というご質問です。 もちろん、商品単体の写真はECサイトに必要です。 ですが、 それだけでは海外ECではなかなか売れません。 実際に、私が食品撮影や商品撮影の現場で感じているのは、 海外ユーザーは“使うイメージ”が湧かないと購入しない ということです。 今日は、海外ECで売れるキッチンツール写真の作り方についてお話ししたいと思います。 ① 商品だけではなく「使う瞬間」を見せる 日本のECでは、商品単体の写真が中心でも成立することがあります。 しかし海外ECでは、 ・どう使う道具なのか ・どんな料理に使うのか ・どのくらいのサイズなのか が写真で理解できないと、購入につながりにくい傾向があります。 例えば、 キッチンバサミ。 白背景で撮ると、ただのハサミに見えてしまいます。 でも ・食材をカットしてい
笙子 太田
3月16日読了時間: 3分


さて何の撮影でしょうか?・・・実は「キッチンツール」の撮影でした
こんにちは。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 今日は、ちょっとクイズです。 この写真、何の撮影だと思いますか? ・大きな鍋で鶏ガラを煮込んでいる写真 ・キッチンバサミを洗っている写真 ・巻き簀で太巻きを作っている写真 一見すると、料理の撮影やレシピ撮影のように見えるかもしれません。 でも実はこれ、 キッチンツールの商品撮影 なんです。 今回ご依頼いただいたのは、海外向けにキッチンツールを販売されている越境ECのお客様。 お客様の目標は、 「Web版の合羽橋をつくりたい」 という、とてもワクワクするビジョンでした。 合羽橋といえば、料理人や飲食店関係者が全国から訪れる日本最大級の料理道具街。 その魅力を、世界中の人にオンラインで届けたいという挑戦です。 実はこういった越境ECの撮影では、 単なる商品写真だけではほとんど売れません。 海外ユーザーが知りたいのは ・どう使う道具なのか ・どんな料理が作れるのか ・どんなシーンで使うのか つまり、 「使用イメージ」 なのです。 これは日本のECとは少し考え方が違います。...
笙子 太田
3月14日読了時間: 3分


シェフの言葉にならない「こだわり」も汲み取る。それがフード撮影という仕事
料理人と打ち合わせをしていると、よくこんな瞬間があります。 「うーん…なんて言えばいいんだろう」 「いや、ちょっと違うんですよね」 理屈では説明できない。 でも、確実に“何か”を大事にしている。 私はフードカメラマンとして多くの料理撮影に携わってきましたが、本当に大切なのはこの“言葉にならない部分”だと感じています。 写真は、完成した料理を撮る仕事ではありません。 シェフの感覚を、可視化する仕事 です。 「火入れ」の0.5秒に宿る美学 例えば、火入れ。 「ミディアムレアです」と言えば簡単です。でもシェフが見ているのは、 表面の焼き色の深さ・肉汁が落ち着くまでの時間・切った瞬間の断面の艶 この “ほんの少しの差” です。 撮影では、この差を理解していないといけません。 焼きたてすぐに切るのか。少し休ませるのか。 断面を見せる角度は何度が美しいのか。 ただシャッターを切るのではなく、 シェフの感覚のピークに合わせて切る。 ここがズレると、「なんか違うんだよな」という写真になります。 「素材への敬意」は配置で分かる 和食の現場ではよくあります。 「この
笙子 太田
3月11日読了時間: 3分


高タンパク商品が「ストイック」に見えてしまう理由― 海外では“ご褒美食”に変換されている ―
こんにちは。 日本の食を世界に届けるフードカメラマン、太田笙子です。 最近、プロテインスイーツや高タンパク弁当、植物性プロテイン食品など、 高タンパク食品の撮影依頼 がとても増えています。 スポーツブランド、フィットネスジム、ECブランド、冷凍宅配食など、ジャンルはさまざまですが、実際に撮影の現場でよく感じることがあります。 それは、 高タンパク食品が「ストイック」に見えすぎている ということです。 つまり、 「頑張っている人が食べるもの」 「努力のために我慢して食べるもの」 という印象になってしまっているケースが少なくありません。 でも海外では、この見せ方が少し違います。 日本:努力・我慢の文脈 日本では高タンパク食品というと、 筋トレ・ダイエット・食事制限・減量 というイメージが強い傾向があります。 そのため写真も、 黒背景・ストイックなトーン・無機質な構図 になりやすい。 確かにスポーツの世界観としては正しい場合もあります。 ただし、この見せ方は 市場を狭くしてしまうこともある のです。 海外:自己投資・ウェルネスの文脈 海外では高タンパク
笙子 太田
3月6日読了時間: 4分


「撮影の知識」だけでは足りない。フード撮影に必要なのは“食の教養”という土台
「カメラの設定は分かるんです。」 「構図や光の理論も学びました。」 それでも、なぜか“違和感”のある写真になる。 これは、フード撮影ではとてもよくあることです。 私はフードカメラマンとして1,000件以上の料理撮影・食品撮影・商品撮影に携わってきましたが、いつも感じるのは・・・ フード撮影は“写真の技術だけ”では完成しない ということです。 むしろ本当に差が出るのは、「食」に対する理解の深さです。 カトラリーを“なんとなく”並べると起きること たとえば、カトラリー。 ・フォークは左 ・ナイフは右(刃は内側) ・デザート用は上部 これは基本中の基本ですが、意外と知らずに「見た目重視」で配置してしまうケースがあります。 写真だけを見れば、形としては整っている。でも、テーブルマナーとしては成立していない。 これが何を生むか。 無意識の“違和感”です。 特に高単価レストランや海外向けのECサイトでは、この違和感は信頼低下に直結します。 観光庁の「訪日外国人消費動向調査(2024年速報)」によると、訪日客の消費額は過去最高水準を更新しています(出典:観光庁
笙子 太田
3月4日読了時間: 4分


「綺麗な写真」で売れないのはなぜ?「作品と」ビジネスを動かすフードフォトの決定的な違い。
こんにちは、フードカメラマンの太田笙子です。 「アワード(写真賞)を獲るような素晴らしい写真なら、きっと売上も上がるはずだ」 ビジネスオーナーの皆様は、そう思われるかもしれません。(私も昔は思っていました・・・。) でも、実はここに、写真選びの落とし穴が潜んでいるのです。 プロのフードフォトグラファーとして活動していると、「芸術的な美しさ」と「ビジネスを動かす力」の微妙な、しかし決定的な違いに直面します。 今回は、クライアントの皆様が「なるほど、だから自分たちのプロジェクトにはこの視点が必要だったのか」と納得いただけるよう、アワード向け撮影とクライアントワークの構造的な違いを、最新のデータと私の国際的な視点から深掘りして解説します。 1. 誰がその写真を「評価」するのか? まず、評価基準の出発点が全く異なります。 Award向けの撮影:審査員を唸らせる「新規性」 アワードの世界では、これまでに誰も見たことがない表現や、写真家の独特な世界観、哲学が重視されます。「驚き」や「違和感」がプラスに働くことも多い、いわば「尖った」表現の世界です。...
笙子 太田
3月1日読了時間: 5分
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