シェフの言葉にならない「こだわり」も汲み取る。それがフード撮影という仕事
- 笙子 太田
- 1 日前
- 読了時間: 3分
料理人と打ち合わせをしていると、よくこんな瞬間があります。
「うーん…なんて言えばいいんだろう」
「いや、ちょっと違うんですよね」
理屈では説明できない。
でも、確実に“何か”を大事にしている。
私はフードカメラマンとして多くの料理撮影に携わってきましたが、本当に大切なのはこの“言葉にならない部分”だと感じています。
写真は、完成した料理を撮る仕事ではありません。シェフの感覚を、可視化する仕事です。
「火入れ」の0.5秒に宿る美学
例えば、火入れ。
「ミディアムレアです」と言えば簡単です。でもシェフが見ているのは、
表面の焼き色の深さ・肉汁が落ち着くまでの時間・切った瞬間の断面の艶
この“ほんの少しの差”です。
撮影では、この差を理解していないといけません。
焼きたてすぐに切るのか。少し休ませるのか。
断面を見せる角度は何度が美しいのか。
ただシャッターを切るのではなく、シェフの感覚のピークに合わせて切る。
ここがズレると、「なんか違うんだよな」という写真になります。
「素材への敬意」は配置で分かる
和食の現場ではよくあります。
「この器、実は作家さんの一点物で」
「この野菜は、朝採れなんです」
その一言の裏にあるのは、素材や作り手への敬意。
それを無視して派手にライティングしてしまえば、料理の本質が壊れてしまう。
だから私は、まず“聞く”ことから始めます。
・なぜこの器なのか
・なぜこの配置なのか
・なぜこの余白なのか
シェフが説明しきれない“美意識”を、写真設計に落とし込む。
料理撮影は、構図の問題ではありません。
価値観の翻訳です。
シェフは「売れる写真」を言語化しない
多くの料理人は、マーケターではありません。
・SNSでどう見えるか
・海外ユーザーにどう伝わるか
・価格帯がどう視覚化されるか
そこまでを言葉にするのは難しい。
観光庁の2024年発表データでは、訪日外国人旅行消費額は過去最高を更新しています(出典:観光庁 2024年発表)。
つまり、海外のお客様は確実に増えている。
でも、料理は素晴らしいのに、写真で損をしているお店も多い。
シェフの「美味しい」は、写真で「伝わる」に変換しなければ届きません。
私が大切にしているヒアリング
私は撮影前に必ず聞きます。
「この料理で一番伝えたいことは何ですか?」
すると返ってくるのは、
「いや…全部大事なんですけどね」
そうなんです。
全部大事。
だからこそ、どこを“主語”にするかを一緒に探します。
火入れなのか、素材の希少性なのか、器との調和なのか、体験としての時間なのか・・・
ここが定まると、光も構図も色温度も決まります。
フードカメラマンの仕事は「代弁者」
フードカメラマン、料理カメラマン、food photographer。
単に美味しそうに撮る人ではありません。
シェフの代わりに、世界に向けて語る人です。
以前まとめた「売上を伸ばす!インバウンド向け写真 — 世界に伝わるビジュアル戦略 —」でもお伝えしていますが、写真は翻訳できない言語です。
だからこそ、言葉にならない“こだわり”を汲み取れなければ、写真は薄くなる。
逆に、そこまで理解できれば、派手でなくても強い写真になります。
「なんか違う」を消す仕事
撮影後、シェフから言われる一言。
「これです。」
その瞬間が、私は一番好きです。
言語化できなかった感覚が、写真になった瞬間。
もし今、
「料理には自信があるのに、写真が追いついていない」そう感じているなら。
それは撮影技術の問題ではなく、こだわりの翻訳が足りていないだけかもしれません。
Light & Green Inc. では、シェフの想いまで汲み取る料理撮影・食品撮影をご提案しています。
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写真は、料理の“通訳”。
フードカメラマン 太田笙子でした。



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