ヘルシー食品の撮影は「制限」ではなく「価値」を写すことから始まる
- 笙子 太田
- 2月25日
- 読了時間: 4分
最近、グルテンフリーやビーガン、ベジタリアン、低糖質、高タンパクといった“ヘルシー系食品”の撮影依頼が本当に増えています。
健康志向の高まりは感覚ではなく、数字でも明確です。
観光庁が2024年に公表した「訪日外国人消費動向調査」によると、訪日旅行者の関心項目の中で「日本食を食べること」は依然として上位に位置し、食の選択基準に“健康配慮”を重視する傾向も見られます(出典:観光庁 2024年 訪日外国人消費動向調査)。
つまり今、「健康」は選ばれる理由になっている。
でもここで、ひとつ大きな落とし穴があります。
ヘルシー=地味、に見えてしまう写真がとても多いのです。
インバウンド・海外展開特化のフードカメラマンとして、今日は私が現場で意識している“ヘルシー食品撮影のコツ”をお話しします。
① 「制限食」に見せないことが最重要
グルテンフリー、低糖質、高タンパク・・・
これらは本来「制限」ではなく「付加価値」です。
しかし撮り方を間違えると、「我慢して食べる食事」に見えてしまいます。
海外市場では特に、ヘルシー=ポジティブ・アクティブ・自己投資という文脈で捉えられます。
だから私は、
・光は明るく
・コントラストは適度に
・彩度を落としすぎない
・立体感をしっかり出す
を意識します。
ヘルシー食品こそ、生命感が必要。
「元気が写っているか?」ここを必ずチェックします。
② 色で「健康」を翻訳する
低糖質パンやグルテンフリー焼き菓子は、どうしてもナチュラルで茶系に寄りやすい。
だからこそ、背景設計が重要になります。
私は以前、「世界に伝わるビジュアル戦略」という資料の中で、国別の色嗜好の違いをまとめました。
文化背景によって“美味しそう”の基準は変わります。
例えば、
・アメリカ:明快でコントラスト強め
・フランス:彩度を落としたエレガントトーン
・台湾:明るくポジティブな色設計
同じビーガンスイーツでも、ターゲットが違えば正解の色温度は変わります。
「誰に向けた健康か?」
ここを設計せずに撮ると、どれだけ綺麗でも刺さらないのです。
③ 高タンパク商品は「質感」で勝負する
高タンパク商品は、どうしても栄養数値の訴求に寄りがちです。
でも人は、数字だけでは動きません。
私が必ず撮るのは、
・断面
・繊維感
・しっとり感
・噛み跡
・ほぐれ感
“身体に良さそう”より先に、「美味しそうなのに高タンパク」に見せる。
この順番がとても大切です。
料理撮影・食品撮影では、質感こそ最大の説得力になります。
④ ビーガン・ベジタリアンは「思想」を写す
植物性食品は、単なる食事ではありません。
そこには、
・サステナビリティ
・倫理観
・ライフスタイル
・環境配慮
といった価値観が含まれています。
だから私は、
・木やリネンなど自然素材を入れる
・窓光を活かす
・手や動作を入れて生活感を出す
という設計をします。
物撮りではなく、体験撮影。
これは、これまで1,000件以上の料理撮影・商品撮影をしてきて強く感じていることです。
⑤ 低糖質スイーツは“幸福感”を削らない
実はこれが一番難しい。
低糖質ケーキは軽く見えすぎることがあります。
でも甘いものは本来「ご褒美」ですよね。
湯気、艶、粉糖のニュアンス、スプーンが入る瞬間。
幸福感をきちんと残すことで、“罪悪感のない贅沢”という価値に変わります。
ヘルシー=我慢、ではなくヘルシー=賢い選択、に見せる。
ここが設計の分かれ道です。
ヘルシー食品こそ、戦略が必要
健康市場は拡大していますが、競争も激しい。
だからこそ、
・EC用(情報量と安心感)
・SNS用(ストーリー性と拡散力)
・広告用(一瞬で意味が伝わる)
用途ごとに撮り分ける必要があります。
写真は装飾ではありません。
売上をつくる設計図です。
インバウンド・海外展開を目指す企業様。
「健康」という価値を、正しく世界に翻訳できていますか?
もし今の写真に少しでも違和感があるなら、それは撮影技術ではなく“設計”の問題かもしれません。
まとめ
・ヘルシー=地味にしない
・市場別に色設計を変える
・機能性より先に美味しさ
・思想と体験を写す
・用途別に撮り分ける
ヘルシー食品の撮影は、制限を写す仕事ではありません。
未来志向のライフスタイルを写す仕事です。
フードカメラマン太田笙子は、海外目線・文化翻訳を意識したビジュアル設計で、料理撮影・食品撮影・商品撮影を行っています。
ヘルシー商材の撮影をご検討の方は、こちらからお気軽にご相談ください。
食に、物語を。Food Photos Designed for Global Markets.



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