キッチンツール撮影で「やってはいけない」NG例集― なぜその写真は使われないのか ―
- 笙子 太田
- 1月22日
- 読了時間: 4分
「形はきれいに撮れているはずなのに、なぜか売れない」
キッチンツールや調理器具の商品撮影で、メーカーさんやEC担当者さんから本当によく聞く声です。
実はこれ、珍しい話ではありません。
むしろ、“真面目に撮っている企業ほど陥りやすい落とし穴”とも言えます。
私は料理カメラマン/フードカメラマンとして、商品撮影・食品撮影・EC向け撮影を数多く担当してきましたが、「使われない写真」には、はっきりとした共通点があります。
今回は、キッチンツール撮影でやってはいけないNG例を、理由とともに整理してみます。
NG① 白背景・単体写真だけで完結させてしまう
まず一番多いのが、白背景 × 単体 × 正面の写真だけで構成してしまうケース。
もちろん、・形状確認・カタログ用・規格説明用
としては必要です。
ただし、それだけでは売れません。
なぜなら、白背景の単体写真は
「物としては分かる」けれど「使う自分が想像できない」から。
ECで商品を選ぶとき、お客様が無意識に探しているのは、
これ、うちのキッチンに合うかな
自分の料理レベルでも使えそう?
使ってる時間、楽しそうかな
という未来のイメージです。
白背景だけだと、この“未来”が一切見えない。
結果として、スクロールされて終わってしまいます。
NG② 使用サイズ感が伝わらない
これは、メーカー側が気づきにくい落とし穴です。
・実物を毎日見ている
・寸法は頭に入っている
その状態で写真を見ると、「サイズは伝わっているはず」と感じてしまう。
でも、ECのお客様は違います。
写真だけが判断材料です。
思ったより大きかった
逆に小さすぎた
収納できなかった
この“イメージ違い”は、返品や低評価レビューに直結します。
2023年以降のEC調査でも、「サイズ・使用感の想像違い」は返品理由の上位に挙げられています(出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査 2023年版」)。
だからこそ、
手に持つ
調理中に使う
食材と並べる
といった比較対象が写るカットが不可欠。
サイズ感は、文字より写真で伝えた方が圧倒的に早いのです。
NG③ 高級ツールなのに“安く見える”光の使い方
これも非常に多い失敗です。
・影を全部消す
・全体を均一に明るくする
・反射を怖がって光を避けすぎる
結果、どうなるか。
のっぺりして、質感が消える。
特に、
金属
木製
鉄
マット加工
こういった素材は、光がないと“素材の良さ”が一切伝わりません。
高級キッチンツールほど、実は影とハイライトが命です。
少し暗い部分があるからこそ、明るい部分が引き立つ。
「全部見せよう」とすると、逆に何も伝わらなくなるんですね。
NG④ 「きれい=正解」だと思い込む
日本のメーカーさんに特に多いのですが、きれいに整えすぎると、生活感が消えます。
完璧な配置
ゴミひとつない背景
人の気配ゼロ
これは、カタログとしては正しくても、使う道具としては遠く感じられる。
海外向け・インバウンド向けの商品撮影では特に、
「人の存在」「動き」「途中工程」が重要視されます。
これは文化の違いでもあり、海外では“使われているリアルさ=信頼感”につながるからです。
なぜ、これらの写真は「使われなくなる」のか
理由はシンプルです。
写真が説明で終わっているから。
売れる写真は、説明ではなく「提案」をしています。
このツールがある生活
使っている時間
料理している自分
そこまで想像させて、初めて写真は“売る力”を持ちます。
まとめ
キッチンツール撮影のNGは「間違い」ではなく「足りない」
今回紹介したNG例は、決して「間違った撮り方」ではありません。
ただ、それだけでは足りないのです。
白背景だけで終わらせない
サイズ感を写真で伝える
光で素材と価格帯を語る
この視点を加えるだけで、同じ商品でも写真の役割は大きく変わります。
「ちゃんと撮っているのに売れない」そう感じているなら、写真が“物止まり”になっていないか、ぜひ一度見直してみてください。
キッチンツール・商品撮影・EC向け写真のご相談はこちらから。▶︎ https://www.foodphoto-shoko.com/contact
次回は「高級キッチンツールを安っぽく見せない写真設計」について、もう一段踏み込んで書いてみようと思います。






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