高級キッチンツールを“安っぽく見せない”写真設計― 値段ではなく「空気感」で価値は伝わる ―
- 笙子 太田
- 1月24日
- 読了時間: 4分
同じ包丁、同じフライパン、同じキッチンツールなのに、
写真によって「5,000円くらいかな?」と見えるものと、
「これは25,000円しそう」と感じるものがあります。
この差、実は商品の問題ではありません。
ほとんどの場合、原因は写真設計にあります。
私はフードカメラマンとして、商品撮影・食品撮影・キッチンツール撮影を数多く行ってきましたが、高価格帯の商品ほど「写し方」で損をしているケースをたくさん見てきました。
今回は、高級キッチンツールを安っぽく見せないための写真設計について、現場で実際に意識しているポイントをお話しします。
なぜ同じ包丁でも「5,000円」と「25,000円」に見えるのか
まず大前提として。
人は写真を見た瞬間に、
・価格
・品質
・ブランド格を
無意識に判断しています。
その判断材料になっているのは、商品の説明文ではなく、
背景
光
影
空気感
です。
極端な話、どんなに良い包丁でも、
白背景
影ゼロ
均一な明るさ
で撮ると、量販品に見えやすい。
逆に、
少し暗部がある
素材の質感が立っている
生活や手仕事の気配がある
だけで、一気に価格帯は上がって見えます。
高級感を左右する「背景素材」の選び方
高級キッチンツール撮影で、まず見直してほしいのが背景素材です。
白背景は「無難」ですが、高級感を出すには情報が少なすぎる。
おすすめなのは、
木(無垢材・古材)
石・モルタル
リネン・コットン
など、素材感があるもの。
特に包丁や金属製ツールは、背景に「自然素材」があると、職人性・手仕事感・耐久性が伝わりやすくなります。
背景は主役ではありませんが、価格帯の空気を決める重要な脇役です。
影を消しすぎてはいけない理由
日本の撮影現場で本当に多いのが、「影は悪」「影は消すもの」という考え方。
でも、高級商材においては影=情報です。
影があることで、
立体感
重さ
厚み
が伝わります。
影をすべて消してしまうと、商品は軽く、薄く、平面的に見える。
結果、「高そう」ではなく「量産品っぽい」印象になるのです。
特に鉄・金属・木製品は、影があるからこそ素材が生きる。
影は“汚れ”ではなく、価値を支える要素だと考えてください。
金属・木・鉄・ガラスの質感を出す光の考え方
金属・鉄
・真正面から当てない
・斜めから細くハイライトを入れる
これだけで、刃の鋭さや精度が伝わります。
木
・やわらかい光
・木目に沿う方向
木製ツールは、テカらせすぎると一気に安っぽくなるので注意。
ガラス
・透過光+反射
・背景とのコントラスト
「透明」ではなく存在感のある透明を目指します。
光沢は「出す」か「抑える」かではなく「選ぶ」
よくある失敗が、
光沢を出しすぎてギラギラ
逆に怖がって全部マット
どちらもNGです。
大切なのは、どこを光らせて、どこを抑えるか。
エッジ
角
厚み
この3点にだけ光を残すと、写真は一気に締まります。
全部を見せようとしないこと。
これが、高級感を作る最大のコツです。
高級キッチンツール写真は「性能説明」ではない
高級キッチンツールの写真は、機能説明のためのものではありません。
それはスペック表や文章の役割。
写真が担うべきなのは、
この道具を持つ満足感
使う時間の豊かさ
キッチンに置いたときの誇らしさ
つまり、感情の部分です。
値段は、空気感で納得させる。
これができたとき、写真は「高い」のではなく「妥当」「欲しい」に変わります。
まとめ
高級感は、足し算ではなく引き算で作る
・背景を足しすぎない
・光を当てすぎない
・全部を説明しようとしない
その代わりに、
素材
影
空気
を丁寧に残す。
それだけで、キッチンツールの写真は驚くほど変わります。
「良いものなのに、価格で損している」そう感じているなら、写真設計を一度、見直してみてください。
高級キッチンツール・商品撮影・EC向け写真のご相談はこちらから。
次は「海外向けキッチンツール写真で、日本人がやりがちな失敗」について書いてみようと思います。






コメント