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フードカメラマンは「料理を作れた方がいいのか」〜 料理撮影の現場から考える 〜

  • 執筆者の写真: 笙子 太田
    笙子 太田
  • 3 日前
  • 読了時間: 5分

こんにちは、フードカメラマンの太田笙子です。

料理撮影・食品撮影を専門に活動しています。


仕事柄、いろんな方と話す機会が多いのですが・・・

飲食店のオーナーさん、食品メーカーの方、フードカメラマンを目指している方

かなりの確率でこんな質問をいただきます。

「料理もできた方がいいんですか?」


実は私、この質問がけっこう好きです。

なぜかというと、「撮影ってどういう仕事か」を深く理解しようとしている人だからこそ出てくる質問だと思っているから。


結論から先に言うと、プロの料理人レベルで作れる必要はまったくありません。

でも、料理を作る経験があるかどうかで、写真の「深さ」が確実に変わると感じています。今日は、その理由をちゃんと言葉にしてみようと思います。



■ 料理を作ると「どこを見せるか」の判断が変わる

フード撮影で一番難しいのは、実は技術より判断だと思っています。

シャッターを切る前の「どこを見せるか」という選択が、写真の良し悪しをほぼ決めてしまう。

料理を作る経験があると、この判断が格段に早くなります。


たとえば、煮込み料理を撮るとき。

食材の断面が見えているか、ソースの艶が出ているか、一番崩れやすい部分はどこか。。。

これが、作ったことのある人には感覚的にわかります。

(元料理人のカメラマンはこの部分がめちゃくちゃ強いですね)


どの部分が主役なのか、どこが一番おいしそうに見える瞬間か、時間が経つと何から劣化するか。

こうした判断は、レシピを読んで頭で覚えるより、実際に手を動かした経験の方がずっと体に染み込みます。


撮影の現場は、思っている以上に時間との戦いです。

料理は時間が経つと変化します。

水分が出る、色が変わる、形が崩れる。

「この食材はあと何分で艶が落ちる」

「このソースは冷えると固まる」

こういうことがわかっているかどうかで、ベストショットを逃すかどうかが決まってきます。


私自身も、自分で料理を作って撮影する機会が多いので、この感覚は現場で何度も助けられてきました。


■ 盛り付けには「料理人の意図」が込められている

高さを出す、ソースを弧を描くように流す、食材の向きを揃える。

これって、見た目のためだけにやっているわけじゃないんです。

料理人が伝えたいストーリー、食べる順番への誘導、素材の主役を引き立てるための演出、そういう意図が全部込められています。


料理を作る経験があると、盛り付けを見た瞬間に「ああ、これはこういう意図なんだな」と読み取れるようになります。

これが写真に反映されると、構図の取り方が変わります。アングルが変わります。光の当て方が変わります。


依頼してくださる飲食店さんや食品メーカーさんが「この写真、なんか違う」と感じるときの違和感の正体は、たいていここにあると思っています。

料理人の意図を理解したうえで撮るか、なんとなく綺麗に撮るかでは、仕上がりに大きな差が出ます。


■ でも、フードカメラマンは料理人じゃない

ここで少し立ち止まって、大事なことを確認したいです。

フードカメラマンの仕事は、料理を作ることではありません。料理の魅力を写真で伝えること、です。

だから「料理を作れること」より、「料理を理解しようとする姿勢」の方がずっと大切だと思っています。

料理への好奇心があれば、経験は後からいくらでも積めます。


逆に、どんなに料理が上手でも「写真に何を込めるか」という視点がなければ、フードカメラマンとしての強みにはなりにくい。

この「理解しようとする姿勢」こそが、フードカメラマンに必要な料理との向き合い方だと思っています。



■ 料理を知るほど、写真の「解像度」が上がる

正直に言うと、私がフードカメラマンとして活動し始めたころは、「写真の技術さえあれば大丈夫」と思っていた部分がありました。

でも撮影を重ねるうちに、料理そのものへの理解が深まるほど写真が変わっていく実感がありました。


これを私は「写真の解像度が上がる」という感覚だと思っています。

同じ料理を撮っても、

その料理の背景

素材のこだわり、調理法、シェフが伝えたいこと

を知っているか知らないかで、光の当て方も、角度も、構図も、すべての判断が変わってくる。

知識は「制約」じゃなくて「選択肢」を増やしてくれるものだと感じています。


だから私は今でも、料理を作ることが好きです。

趣味でもあり、撮影の準備でもある。

料理を作ることで得られる気づきは、カメラを持ったときに必ずどこかで活きてきます。


■ まとめ:料理の経験がフードカメラマンに役立つ3つの理由

改めて整理すると、こういうことです。

  1. 料理の構造がわかるので「どこを見せるか」の判断が速い

  2. 盛り付けの意図を読み取れるので、構図・アングル・光の選択が変わる

  3. 時間経過による変化を知っているので、ベストショットを逃しにくい


料理人レベルで作れる必要はありません。

でも、料理に興味を持って実際に手を動かしてみることは、フードカメラマンとしての確かな武器になります。

これからフードカメラマンを目指している方も、撮影を依頼するか検討中の飲食店・食品メーカーの方も、「料理を知っているカメラマン」という視点で選んでみると、また違った基準が見えてくるかもしれません。


料理撮影・食品撮影・商品撮影のご相談は、こちらからお気軽にどうぞ。



著者プロフィール

太田笙子(おおた しょうこ) フードカメラマン。料理撮影・食品撮影を専門に活動。飲食店・食品メーカー・ECサイト向けの撮影対応。自身でも料理を制作・スタイリングしながら撮影するスタイルで、食の背景まで理解したビジュアル制作を行っている。


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