これからはカメラマンもAIを「使う」時代。
- 笙子 太田
- 2025年12月22日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年12月26日
これからは、AIを「使う」時代。
これはカメラマンの仕事が奪われる、という話ではありません。
むしろ逆で、「表現の幅が、もう一段階広がった」という感覚に近いです。
私自身、フードカメラマンとして日々撮影をしていますが、
現場でよく思うのは「ここに、あと一要素だけ入れられたら、
もっと伝わるのに」という瞬間が本当に多いということ。
物理的に難しいことは、実はたくさんあります。
たとえば、バレンタイン用のケーキの撮影。
世界観としては、
・赤いマニキュアを塗った
・華奢な女性の手が
・ゴールドのスプーンを持ち
・ケーキにそっと差し込まれている
そんな一瞬を画角に入れたい。
理由はシンプルで、「甘さ」「ときめき」「女性目線のご褒美感」が、一気に伝わるからです。
でも、現実はどうかというと・・・・。
私の手は、正直、華奢ではありません(笑)。
モデルを手配するほどのカットでもない。
でも、この“手”が入るか入らないかで、写真の印象はまるで変わる。
こういう時に、AIはとても頼れる存在になります。
撮影のベースは、あくまで自分で撮った写真。
光の方向、ケーキの質感、クリームの立ち上がり、影の落ち方、スプーンの角度まで、ここはプロの仕事です。
その上で「物理的に難しい部分」「自分が画角に入ると世界観が壊れてしまう部分」だけを、AIに手伝ってもらう。
<Before>

<After>

今回は、“華奢な女性の手”というパーツだけをAIで補いました。
ここで大事なのは、「全部AIで作る」のではない、という点です。
ゼロからAIで作った写真は、確かにそれっぽくは見えます。
でも、食べ物の温度感や、微妙な違和感は、見る人には伝わってしまう。
特に、食に関わる仕事をしている人や、感度の高いお客様ほど、その差に気づきます。
だから私は、・料理や商品そのもの・光と影・構図と余白は必ず“現実で撮る”。
AIは「演出を補う存在」。
これは、昔でいうレタッチや合成と本質は変わりません。
できることが増えただけです。
むしろ、「AIがあるからこそ、撮影段階で何を作り込むべきか」が、より重要になったと感じています。
撮影で8割を作り、AIで残りの2割を丁寧に整える。
この考え方ができるかどうかで、写真の説得力は大きく変わります。
例えばネギを足したい。
グラスの足を変更したい。
など・・・2割のAIの力は仕上げのスパイスのようなもの。
インバウンド向け、海外向け、高単価商品向けの撮影では特にそうです。
海外の方は「ストーリーが一瞬で伝わるか」をとても重視します。
人の手、仕草、温度感。そういった要素が入るだけで、写真は“説明不要”になります。
AIは、ズルでも手抜きでもありません。
表現を成立させるための、現代の技術です。
これからのフードカメラマンに求められるのは、「AIを使えるかどうか」ではなく、
「どこまでを自分で撮り、どこをAIに任せるかを判断できるか」。
撮影の本質を理解していないと、この線引きはできません。
だから私は、AIを“魔法”だとは思っていません。
あくまで、撮影提案の幅を広げてくれる、心強い相棒。
写真で伝えたい世界観がある。
でも、物理的に難しい。
そんな時代だからこそ、撮影 × AI という選択肢を、ちゃんと理解した上で使っていく。
これからも私は、「ちゃんと撮った写真」を軸に、
必要なところだけAIに助けてもらいながら、
より伝わるビジュアルを提案していきたいと思っています。
撮影やビジュアル表現についてのご相談は、こちらからどうぞ。https://www.foodphoto-shoko.com/contact






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