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キッチンツールは「物撮り」では売れない理由〜商品だけを撮っても伝わらないもの〜
こんにちは。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 キッチンツールの撮影をご相談いただくとき、よくあるご要望があります。 「まずは白背景の物撮りをお願いします」 もちろん、ECサイトでは商品単体の写真は必要です。 いわゆる物撮り(ぶつどり)と呼ばれる撮影ですね。 ただ、実際に海外向けの商品撮影や食品撮影の現場で感じるのは、 キッチンツールは物撮りだけでは売れない ということです。 なぜなら、キッチンツールは 「使う道具」 だからです。 今日は、その理由についてお話ししたいと思います。 ① キッチンツールは「用途」が分からない 例えば、 ・巻き簀(まきす) ・出汁こし ・骨抜き ・業務用トング こうした道具は、日本では当たり前でも、海外では用途が分からないことが多いです。 物撮りで単体写真を見せても、 「これは何の道具だろう?」 で終わってしまうことがあります。 私がフードカメラマンとして海外向けの商品撮影を行うときは、 必ず使用シーンを考えます。 例えば巻き簀なら 海苔・酢飯・具材・巻いている手元 こういった要素を入れるこ
笙子 太田
3月22日読了時間: 4分


フードカメラマンとは|料理撮影のプロの仕事
レストランのメニュー写真。食品メーカーの広告。ECサイトの商品ページ。 私たちが日常的に目にしている「食べ物の写真」の多くは、フードカメラマン(料理カメラマン)によって撮影されています。 スマートフォンでも綺麗な写真が撮れる時代になりました。 それでも、レストランや食品ブランドがプロのカメラマンに依頼する理由があります。 なぜなら料理写真は、 ただ撮るだけでは魅力が伝わらない からです。 光、温度感、質感、器、スタイリング、さらには文化的背景まで。 料理撮影は、さまざまな要素を設計してはじめて完成します。 この記事では、 フードカメラマンとはどんな仕事なのか を、料理撮影の現場の視点から解説します。 フードカメラマンとは フードカメラマンとは、 料理・食品・食に関わるビジュアルを専門に撮影するカメラマン のことです。 料理撮影は一般的な商品撮影とは大きく異なります。 例えば、フード撮影では次のような要素を考えながら撮影します。 ・料理を最も美味しそうに見せる光の設計 ・温度や香りまで感じさせる表現 ・食文化やブランドの世界観の理解 ・料理人やブラ
笙子 太田
3月21日読了時間: 6分


海外向け商品撮影は「工程写真」が重要な理由〜なぜ“作っている途中”を撮ると売れるのか〜
こんにちは。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 海外向けECの商品撮影をご依頼いただくとき、私がよくご提案するのが 「工程写真(プロセス写真)」を撮りましょう ということです。 工程写真とは、 ・調理の途中 ・使っている瞬間 ・作業している手元 など、 完成までのプロセスを見せる写真 のこと。 日本のECでは、商品単体の写真だけでも成立することが多いですが、海外ECではそれだけでは十分に伝わらないことが少なくありません。 今日は、なぜ海外向け商品撮影で工程写真が重要なのかをお話ししたいと思います。 ① 海外ユーザーは「写真」で理解する 海外ECでは、日本よりも 写真で商品を理解する 傾向が強いと言われています。 言語や文化が異なるため、説明文を細かく読まないユーザーも多いからです。 そのため、 ・何をする道具なのか ・どう使うのか ・どんな結果になるのか が写真で分かることがとても重要になります。 例えば、 巻き簀(まきす)。 日本人なら見ただけで「寿司を巻く道具」と分かります。 でも海外ユーザーには、 ただの竹のマッ
笙子 太田
3月20日読了時間: 4分


海外ECで売れるキッチンツール写真の作り方〜「商品写真」だけでは売れない理由〜
こんにちは。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 海外向けにキッチンツールを販売している企業様から、撮影のご相談をいただくことが増えてきました。 そのときによくあるのが、 「とりあえず白背景の商品写真を撮ればいいですよね?」 というご質問です。 もちろん、商品単体の写真はECサイトに必要です。 ですが、 それだけでは海外ECではなかなか売れません。 実際に、私が食品撮影や商品撮影の現場で感じているのは、 海外ユーザーは“使うイメージ”が湧かないと購入しない ということです。 今日は、海外ECで売れるキッチンツール写真の作り方についてお話ししたいと思います。 ① 商品だけではなく「使う瞬間」を見せる 日本のECでは、商品単体の写真が中心でも成立することがあります。 しかし海外ECでは、 ・どう使う道具なのか ・どんな料理に使うのか ・どのくらいのサイズなのか が写真で理解できないと、購入につながりにくい傾向があります。 例えば、 キッチンバサミ。 白背景で撮ると、ただのハサミに見えてしまいます。 でも ・食材をカットしてい
笙子 太田
3月16日読了時間: 3分


さて何の撮影でしょうか?・・・実は「キッチンツール」の撮影でした
こんにちは。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。 今日は、ちょっとクイズです。 この写真、何の撮影だと思いますか? ・大きな鍋で鶏ガラを煮込んでいる写真 ・キッチンバサミを洗っている写真 ・巻き簀で太巻きを作っている写真 一見すると、料理の撮影やレシピ撮影のように見えるかもしれません。 でも実はこれ、 キッチンツールの商品撮影 なんです。 今回ご依頼いただいたのは、海外向けにキッチンツールを販売されている越境ECのお客様。 お客様の目標は、 「Web版の合羽橋をつくりたい」 という、とてもワクワクするビジョンでした。 合羽橋といえば、料理人や飲食店関係者が全国から訪れる日本最大級の料理道具街。 その魅力を、世界中の人にオンラインで届けたいという挑戦です。 実はこういった越境ECの撮影では、 単なる商品写真だけではほとんど売れません。 海外ユーザーが知りたいのは ・どう使う道具なのか ・どんな料理が作れるのか ・どんなシーンで使うのか つまり、 「使用イメージ」 なのです。 これは日本のECとは少し考え方が違います。...
笙子 太田
3月14日読了時間: 3分


シェフの言葉にならない「こだわり」も汲み取る。それがフード撮影という仕事
料理人と打ち合わせをしていると、よくこんな瞬間があります。 「うーん…なんて言えばいいんだろう」 「いや、ちょっと違うんですよね」 理屈では説明できない。 でも、確実に“何か”を大事にしている。 私はフードカメラマンとして多くの料理撮影に携わってきましたが、本当に大切なのはこの“言葉にならない部分”だと感じています。 写真は、完成した料理を撮る仕事ではありません。 シェフの感覚を、可視化する仕事 です。 「火入れ」の0.5秒に宿る美学 例えば、火入れ。 「ミディアムレアです」と言えば簡単です。でもシェフが見ているのは、 表面の焼き色の深さ・肉汁が落ち着くまでの時間・切った瞬間の断面の艶 この “ほんの少しの差” です。 撮影では、この差を理解していないといけません。 焼きたてすぐに切るのか。少し休ませるのか。 断面を見せる角度は何度が美しいのか。 ただシャッターを切るのではなく、 シェフの感覚のピークに合わせて切る。 ここがズレると、「なんか違うんだよな」という写真になります。 「素材への敬意」は配置で分かる 和食の現場ではよくあります。 「この
笙子 太田
3月11日読了時間: 3分


高タンパク商品が「ストイック」に見えてしまう理由― 海外では“ご褒美食”に変換されている ―
こんにちは。 日本の食を世界に届けるフードカメラマン、太田笙子です。 最近、プロテインスイーツや高タンパク弁当、植物性プロテイン食品など、 高タンパク食品の撮影依頼 がとても増えています。 スポーツブランド、フィットネスジム、ECブランド、冷凍宅配食など、ジャンルはさまざまですが、実際に撮影の現場でよく感じることがあります。 それは、 高タンパク食品が「ストイック」に見えすぎている ということです。 つまり、 「頑張っている人が食べるもの」 「努力のために我慢して食べるもの」 という印象になってしまっているケースが少なくありません。 でも海外では、この見せ方が少し違います。 日本:努力・我慢の文脈 日本では高タンパク食品というと、 筋トレ・ダイエット・食事制限・減量 というイメージが強い傾向があります。 そのため写真も、 黒背景・ストイックなトーン・無機質な構図 になりやすい。 確かにスポーツの世界観としては正しい場合もあります。 ただし、この見せ方は 市場を狭くしてしまうこともある のです。 海外:自己投資・ウェルネスの文脈 海外では高タンパク
笙子 太田
3月6日読了時間: 4分


「撮影の知識」だけでは足りない。フード撮影に必要なのは“食の教養”という土台
「カメラの設定は分かるんです。」 「構図や光の理論も学びました。」 それでも、なぜか“違和感”のある写真になる。 これは、フード撮影ではとてもよくあることです。 私はフードカメラマンとして1,000件以上の料理撮影・食品撮影・商品撮影に携わってきましたが、いつも感じるのは・・・ フード撮影は“写真の技術だけ”では完成しない ということです。 むしろ本当に差が出るのは、「食」に対する理解の深さです。 カトラリーを“なんとなく”並べると起きること たとえば、カトラリー。 ・フォークは左 ・ナイフは右(刃は内側) ・デザート用は上部 これは基本中の基本ですが、意外と知らずに「見た目重視」で配置してしまうケースがあります。 写真だけを見れば、形としては整っている。でも、テーブルマナーとしては成立していない。 これが何を生むか。 無意識の“違和感”です。 特に高単価レストランや海外向けのECサイトでは、この違和感は信頼低下に直結します。 観光庁の「訪日外国人消費動向調査(2024年速報)」によると、訪日客の消費額は過去最高水準を更新しています(出典:観光庁
笙子 太田
3月4日読了時間: 4分


「綺麗な写真」で売れないのはなぜ?「作品と」ビジネスを動かすフードフォトの決定的な違い。
こんにちは、フードカメラマンの太田笙子です。 「アワード(写真賞)を獲るような素晴らしい写真なら、きっと売上も上がるはずだ」 ビジネスオーナーの皆様は、そう思われるかもしれません。(私も昔は思っていました・・・。) でも、実はここに、写真選びの落とし穴が潜んでいるのです。 プロのフードフォトグラファーとして活動していると、「芸術的な美しさ」と「ビジネスを動かす力」の微妙な、しかし決定的な違いに直面します。 今回は、クライアントの皆様が「なるほど、だから自分たちのプロジェクトにはこの視点が必要だったのか」と納得いただけるよう、アワード向け撮影とクライアントワークの構造的な違いを、最新のデータと私の国際的な視点から深掘りして解説します。 1. 誰がその写真を「評価」するのか? まず、評価基準の出発点が全く異なります。 Award向けの撮影:審査員を唸らせる「新規性」 アワードの世界では、これまでに誰も見たことがない表現や、写真家の独特な世界観、哲学が重視されます。「驚き」や「違和感」がプラスに働くことも多い、いわば「尖った」表現の世界です。...
笙子 太田
3月1日読了時間: 5分


なぜフード撮影では「左から光を当てる」のか?〜キーライト(メインライト)が左にある理由 〜
フードカメラマンとして撮影をしていると、よく聞かれる質問があります。 「どうして光は左から当てることが多いんですか?」 実はこれ、なんとなくの慣習ではありません。 視線の動き、文化的背景、そして“美味しそう”の感じ方に、きちんと理由があります。 今日はそのお話を、少し深く掘り下げてみたいと思います。 1. 人は“左から右”へ視線を動かす生き物 日本語も英語も、基本的には左から右へ読む文化です。 そのため、多くの人の視線は「左→右」へ自然に流れます。 光が左から入ると、視線の流れと光の流れが一致する。 すると、写真の中に“自然な立体感”が生まれます。 逆に右から強い光を当てると、どこか違和感を覚えることがあります。 これは単なる感覚論ではなく、広告や視線解析の分野でも知られている視線動線の基本原理です。 2. 絵画の歴史も「左光」が多い 例えば、17世紀の絵画。 ヨハネス・フェルメールやレンブラント・ファン・レインの作品を見てみると、多くが左側からの自然光で描かれています。 理由はシンプルで、画家が右利きの場合、左に窓があったほうが描きやすかったか
笙子 太田
2月26日読了時間: 3分


ヘルシー食品の撮影は「制限」ではなく「価値」を写すことから始まる
最近、グルテンフリーやビーガン、ベジタリアン、低糖質、高タンパクといった“ヘルシー系食品”の撮影依頼が本当に増えています。 健康志向の高まりは感覚ではなく、数字でも明確です。 観光庁が2024年に公表した「訪日外国人消費動向調査」によると、訪日旅行者の関心項目の中で「日本食を食べること」は依然として上位に位置し、食の選択基準に“健康配慮”を重視する傾向も見られます(出典:観光庁 2024年 訪日外国人消費動向調査)。 つまり今、「健康」は選ばれる理由になっている。 でもここで、ひとつ 大きな落とし穴 があります。 ヘルシー=地味、に見えてしまう写真がとても多いのです。 インバウンド・海外展開特化のフードカメラマンとして、今日は私が現場で意識している“ヘルシー食品撮影のコツ”をお話しします。 ① 「制限食」に見せないことが最重要 グルテンフリー、低糖質、高タンパク・・・ これらは本来「制限」ではなく「付加価値」です。 しかし撮り方を間違えると、「我慢して食べる食事」に見えてしまいます。 海外市場では特に、ヘルシー=ポジティブ・アクティブ・自己投資と
笙子 太田
2月25日読了時間: 4分


撮影体制についてのお知らせ|産休期間中も、撮影は止まりません
いつも撮影のご相談をいただき、誠にありがとうございます! 私事ではございますが、3月末に出産を予定しております。 そのため、3月上旬〜5月末まで産休をいただきます。 しかし、 Light & Greenの撮影は、この期間も止まりません。 ■ 2月の撮影枠と今後の撮影撮影ご相談について 現在、2月中の撮影枠は既存のお客様・現在ご相談中のお客様で満枠となっております。 ありがたいことに、継続案件やリピート案件が増えており、早期にスケジュールが埋まる状況が続いています。 春〜初夏商戦、インバウンド需要、EC更新などを見据えている企業様は、ぜひお早めにご相談ください。 ■ 3〜5月は「チーム体制」で対応いたします 産休期間中の撮影は、全国約100名のフードカメラマンが在籍する 株式会社Light & Greenの撮影チームが担当いたします。 これは“代打”ではありません。 普段から私がディレクション設計を行い、実際に現場を共に動かしているメンバーです。 ・インバウンド向け色設計 ・売上導線を意識した構図 ・EC/デリバリー/広告用途別の撮り分け ・ブラン
笙子 太田
2月21日読了時間: 3分


馬肉製品の撮影をしました|調理・スタイリング・撮影まで一貫して行う理由
先日、ECサイト掲載用の馬肉製品の撮影を行いました。 今回の案件は、調理・スタイリング・撮影まですべて私自身で担当しています。 料理撮影・食品撮影・商品撮影と一言で言っても、ただ美味しそうに撮ればいいわけではありません。 特に馬刺しや馬肉ハンバーグのような赤身肉は、「色」が売上を左右します。 赤が沈んで見えるだけで鮮度が疑われる。 逆に赤を強く出しすぎると、不自然に見える。 この“ほんの少し”の差が、ECではそのまま購入率に直結します。 これまで1,000件以上の料理撮影を行ってきましたが、赤身肉は毎回気が抜けません。 モニターを見ながら、「暗くない?」「コントラスト強すぎない?」と自問自答し続けます。 特に海外向けECやインバウンド集客を意識する場合、“察してもらう写真”ではなく、“一目で伝わる写真”が必要です。 文化によって「美味しそう」の基準は異なります。 だからこそ、光の方向、反射の出方、背景の色、器のトーンまで設計します。 写真は、翻訳できない言語。 だから私は、調理段階から設計しています。 なぜ調理まで自分で行うのか...
笙子 太田
2月19日読了時間: 3分


海外ECで売れるキッチンツール写真は「工程」と「完成」で決まる
海外向けのキッチンツール撮影では、 商品単体の美しさだけでは、正直足りません。 「どんな道具なのか」だけでなく、 どう使われ、どんな結果が得られるのか まで伝わって、はじめて購入判断につながります。 今回は、ハート型のケーキ型を例に、海外ECで“選ばれる写真設計”についてご紹介します。 今回の撮影で求められた3つのカット 今回お客様からご依頼いただいた内容は、以下の3点でした。 商品単体の撮影 製造途中の工程撮影(生地を流す・焼き上がりなど) 完成イメージの撮影 一見すると「カット数が多い」ように見えますが、海外ECではこの構成がとても理にかなっています。 海外ECでは「どう使うか」が購入判断になる 海外ユーザーは、日本のように説明文をじっくり読んでくれるとは限りません。 写真を見た瞬間に、 失敗しなさそうか 自分にも作れそうか どんな完成形になるのか この3点が直感的に伝わらなければ、その時点で候補から外れてしまいます。 だからこそ今回の撮影では、 「型 → 工程 → 完成」 という流れを、写真だけで理解できる構成を重視しました。...
笙子 太田
2月14日読了時間: 2分


馬肉製品の撮影をしました|調理・スタイリング・撮影まで一貫して行う理由
本日は、ECサイト掲載用の馬肉製品の撮影を行いました。 今回の案件は、調理・スタイリング・撮影まですべて私自身で担当しています。 (ここに馬肉製品の撮影写真を挿入) 料理撮影・食品撮影・商品撮影と一言で言っても、ただ美味しそうに撮ればいいわけではありません。 特に馬刺しや馬肉ハンバーグのような赤身肉は、「色」が売上を左右します。 赤が沈んで見えるだけで鮮度が疑われる。 逆に赤を強く出しすぎると、不自然に見える。 この“ほんの少し”の差が、ECではそのまま購入率に直結します。 これまで1,000件以上の料理撮影を行ってきましたが、赤身肉は毎回気が抜けません。 モニターを見ながら、「暗くない?」「コントラスト強すぎない?」と自問自答し続けます。 特に海外向けECやインバウンド集客を意識する場合、 “察してもらう写真”ではなく、“一目で伝わる写真”が必要です。 文化によって「美味しそう」の基準は異なります。 だからこそ、光の方向、反射の出方、背景の色、器のトーンまで設計します。 写真は、翻訳できない言語。 だから私は、調理段階から設計しています。 なぜ
笙子 太田
2月13日読了時間: 3分


クリスマスケーキ写真が「安っぽく見える」5つの理由― きれいに撮った“つもり”が、一番危ない ―
毎年、夏頃になってクリスマスケーキの販促物を作成する時期になると、パティスリーや食品メーカーの方から、こんな声をよく聞きます。 「写真はあるのに、なぜか高級感が出ない」 「実物はもっと美味しそうなのに、写真になると普通…」 実はこれ、技術の問題というより“設計のズレ”で起きているケースがほとんどです。 今回は、クリスマスケーキ撮影でよく見かける「安っぽく見えてしまう5つの理由」を、プロの現場目線で解説します。 「うちもこれ、やってるかも…」そう気づいた瞬間が、写真を見直すベストタイミングです。 ① 生クリームが白飛びしている いちばん多い失敗がこれです。 生クリームは白い。 だから明るく撮りたくなる。 結果、 質感が消えた“真っ白な塊”になる。 白飛びした生クリームは、 ・軽そう ・コクがなさそう ・量産品に見える という印象を与えやすく、 価格帯が一気に下がります。 本来、生クリームは「なめらかさ」「厚み」「空気感」を見せることで、初めて“ごちそう”に見えるもの。 光を当てすぎない。影を少し残す。 それだけで印象は劇的に変わります。 ② 飾りが
笙子 太田
2月1日読了時間: 3分


おせち料理撮影は「料理写真」ではない― 世界に“意味”と“物語”を伝えるビジュアル設計 ―
お正月に食べる「おせち料理」。 日本で育った私たちにとっては見慣れた存在ですが、海外の方に写真を見せると、驚くほど反応が返ってきます。 「これは何の料理?」 「どうしてこんなに細かく分かれているの?」 「全部に意味があるって本当?」 フードカメラマンとして海外向け・インバウンド向けの撮影をしていると、 おせちは“料理”というより、文化そのもの なのだと実感します。 だからこそ、おせち料理の撮影はただ美味しそうに撮ればいい、という話ではありません。 なぜ今「おせち料理の撮影」が重要なのか 観光庁の発表によると、 2024年の訪日外国人消費額は約5.9兆円 (2025年に6兆円規模に達する見込み)とされ、 その中でも「食体験」「日本文化体験」への関心は年々高まっています。 (出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」2024年) おせちは ・日本独自 ・季節限定 ・意味やストーリーが明確 という点で、海外向けの発信と非常に相性が良いコンテンツです。 問題は、“その価値が写真で伝わっていないケースが多い”こと。 おせち料理撮影でよくある失敗 ① 全体を俯瞰
笙子 太田
1月29日読了時間: 3分


高価格帯チョコレートが「この値段でも買われる」写真の条件
高価格帯のチョコレートを扱っている方から、こんな相談を受けることがあります。 「原材料も製法も一流です。でも、写真を見ると“この値段?”と思われそうで不安で…」 実はこれ、とてもよくある悩みです。そして多くの場合、問題は 商品ではなく写真 にあります。 高級チョコレートが「高いから売れない」のではなく、写真が“その値段を肯定していない”だけ、というケースは本当に多いです。 まず前提:写真は「値段の理由」を説明する役割を持つ ECでも海外向けでも、チョコレート写真は単なるビジュアルではありません。 写真は、「なぜこの値段なのか?」を言葉なしで説明する装置です。 逆に言えば、その説明ができていない写真は、どんなに良い商品でも「高い」と判断されます。 条件①「量」を見せすぎない 高価格帯チョコレートで、いちばんやってはいけないのが 全部見せる構図 です。 ・箱を開けた全体 ・粒数が一目でわかる ・情報量が多い写真 これらは、無意識に「コスパ思考」を刺激します。 高級チョコレートで大切なのは、 「どれだけ入っているか」より 「一粒にどれだけ価値があるか」
笙子 太田
1月28日読了時間: 3分


食器撮影は「物撮り」ではなく「ライフスタイル撮影」― なぜ“使われていない器”は売れないのか ―
食器の商品撮影やEC用写真を見ていて、こんな違和感を覚えたことはないでしょうか。 「形はきれいなのに、なぜか欲しくならない」 「高級なはずなのに、価格の理由が伝わらない」 この原因の多くは、 器を“モノ”として撮ってしまっていること にあります。 私はフードカメラマンとして、料理撮影・食品撮影・商品撮影を数多く行ってきましたが、ラグジュアリー路線や高単価の食器ほど、 物撮り的な写真が致命的に合わない と感じています。 なぜなら、高価格帯の器は「形」ではなく、 その器がある時間や体験にお金を払う商品 だからです。 人の気配がない写真は、なぜ弱いのか 完全に整えられた器。 指紋も影もなく、完璧な状態。 一見、非の打ちどころがない写真ですが、見る側の心はあまり動きません。 なぜか。 それは、 そこに人が存在していないから。 人は商品写真を見るとき、無意識にこう考えています。 「これは、私の生活に入るだろうか?」 「この器を使っている自分を想像できるだろうか?」 人の気配が一切ない写真は、“きれい”ではあっても、 自分の生活との接点が見つからない のです
笙子 太田
1月27日読了時間: 4分


海外向けキッチンツール写真で、日本人がやりがちな失敗― 「伝わる」と「察してもらう」は違う ―
海外向けにキッチンツールや調理器具を展開したい。 そう考えて撮影をしているのに、 「国内では評判がいいのに、海外では反応が薄い」 「写真はきれいなのに、なぜか伝わらない」 そんなご相談をいただくことがよくあります。 私はインバウンド・海外展開に特化したフードカメラマンとして、商品撮影・食品撮影・キッチンツール撮影を数多く担当してきましたが、海外向け写真には日本人が無意識にやってしまう“共通の失敗”があります。 その根本にあるのが、 「察してもらえる前提」で写真を作ってしまうこと 。 今日はその違いを、具体的に解説します。 日本向け写真と海外向け写真の決定的な違い まず大前提として。 日本向け写真は、 情報が少なくても成立しやすい 。 なぜなら、日本人は ・行間を読む ・前提知識を補完する ・文脈を想像する文化に慣れているからです。 一方、海外向け写真は違います。 海外では、 写真そのものが説明書 。 ・どう使うのか ・どれくらいの大きさか ・何ができるのか これが一目で分からないと、「分からない=選ばない」という判断になります。 ここが、日本向け
笙子 太田
1月26日読了時間: 4分
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