キッチンツール撮影で本当に大切なこと〜「何を撮るか」より、「どう使われるか」を想像させる写真へ〜
- 笙子 太田
- 1月19日
- 読了時間: 3分
キッチンツールの撮影というと、
つい「形がきれいに見えること」「傷や汚れがないこと」に意識が向きがちです。
もちろんそれも大切。
でも、実際に売れる写真を見ていくと、もう一段深い共通点があります。
それは「この道具を使っている自分の姿が、自然に想像できるかどうか」。
私はフードカメラマンとして、調理器具・キッチンツール・食品・EC向け商品撮影を数多く担当してきましたが、成果が出る写真ほど、必ず「使用シーン」「使用イメージ」が丁寧に設計されています。
なぜ“物だけ”の写真では伝わらないのか
例えば、フライパン。
・真上からきれいに撮った単体写真
・背景は白、影も少なく、情報としては完璧
でも、この写真を見た人は「ふーん、フライパンだな」で終わってしまうことが多い。
一方で、
・火にかけられている
・中で食材が焼けている
・手元が少し写り込んでいる
そんな写真になると、「朝ごはんに使えそう」「休日にこれで料理したら楽しそう」と、一気に自分ごとに変わります。
人は物を買っているようで、本当は“その先の体験”を買っているんですよね。
使用シーン=生活の翻訳
キッチンツールの撮影は、言い換えると「生活の翻訳作業」だと思っています。
・誰が使うのか
・どんなキッチンか
・どんな時間帯か
・どんな料理か
これらを写真で“察してもらう”のではなく、一目で伝わる形にする。
特に海外向け・インバウンド向けの商品写真では、この「想像しやすさ」がとても重要になります。
文化や言語が違っても、
・湯気・手の動き
・食卓の空気感
こうしたビジュアルは、説明がなくても伝わるからです。
使用イメージを作る3つの視点
1. 人の存在を入れる
必ずしも顔は必要ありません。「手元」だけで十分。
・持ち上げる
・混ぜる
・盛り付ける
この一瞬があるだけで、写真は一気に生き始めます。
2. 完成形より“途中”を見せる
完成した料理よりも、実は調理の途中の方が想像力を刺激します。
・焼いている最中
・切っている瞬間
・注いでいる動作
「使いやすそう」「扱いやすそう」が、無意識に伝わります。
3. 完璧すぎない
ピカピカで無機質な写真より、少し生活感がある方がリアル。
・布巾が少し写る
・木のカウンター
・自然な影
この“余白”が、使う人の暮らしを入り込ませてくれます。
キッチンツール撮影は「道具の説明」ではなく「未来の提案」
良いキッチンツール写真は、「この商品はこういう素材です」とは語りません。
代わりに、「これがある生活、ちょっと良さそうじゃない?」と、静かに問いかけてきます。
料理カメラマン・フードカメラマンとして、私が撮影で一番大切にしているのは、その道具があることで生まれる時間や気持ちまで写すことです。
まとめ
キッチンツールの撮影で本当に大切なのは、
形を正確に写すことではなく、
使う自分を想像してもらうこと。
使用シーンと使用イメージが伝わった瞬間、写真は「説明」から「提案」に変わります。
もし「きれいに撮っているはずなのに、なぜか売れない」と感じていたら、一度“使われている姿”を見直してみてください。
写真の役割が、きっと変わるはずです。
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