「目立つ写真」と「買いたくなる写真」は、似ているようでまったく別物
- 笙子 太田
- 1月3日
- 読了時間: 4分
フード撮影の現場で、よく聞かれる質問があります。
「この写真、すごくかっこいいですよね?」
「でも…売れる写真って、これで合ってますか?」
実はこの2つ、似ているようで目的がまったく違うんです。
私はフードカメラマンとして、
広告・EC・インバウンド向けの撮影を数多く担当してきましたが、
“作品的に目立つ写真”と“買いたくなる写真”は、撮り方も考え方も別物だと感じています。
今日はその違いを、できるだけ分かりやすくお話しします。
目立つ写真(作品的な写真)の特徴
まずは「目立つ写真」から。
これは
・SNSでスクロールを止める
・コンテストやポートフォリオで評価される
・「おしゃれ」「すごい」と言われやすい
そんな写真です。
特徴としては、
強い光や影、コントラストがはっきり
構図や色に“作者の個性”が強く出る
食べ物そのものより「世界観」や「美意識」が主役
暗め・静的・ドラマチックな表現も多い
正直に言うと、撮っていて一番楽しいのは、こちらだったりします(笑)。
自分の表現欲が満たされるし、「いい写真ですね」と言ってもらえる確率も高い。
ただし…
必ずしも「売れる」とは限らないのが、このタイプです。
買いたくなる・手に取りたくなる写真の特徴
一方で、「買いたくなる写真」はどうでしょうか。
こちらは
・ECでカートに入れたくなる
・メニューを見て注文したくなる
・「自分が食べている姿」を想像できる
そんな写真です。
特徴はとても現実的です。
明るさ・色味が分かりやすい
サイズ感・量感が正確に伝わる
食感や温度感が想像できる
手・口元・湯気など「人の気配」が入る
主役はあくまで“商品そのもの”
派手さはないかもしれません。
でも、迷わせない・不安にさせない・想像させる。
これが「買いたくなる写真」の本質です。
なぜ「目立つ写真=売れる写真」ではないのか
ここで大事な視点があります。
人は写真を見るとき、
「きれいかどうか」より先に、無意識にこう考えています。
自分に関係ある?
失敗しない?
想像できる?
特にECやインバウンド向けでは、この傾向が顕著です。
実際、観光庁・日本政府観光局(JNTO)が2024年に公表したデータでは、
訪日外国人の消費行動において「事前の視覚情報(写真)」が意思決定に大きく影響することが示されています。
「雰囲気が分かる」「実際に体験できそう」と感じられる写真ほど、予約・購入につながりやすい。
(出典:JNTO「訪日外国人消費動向調査 2024」)
つまり、
“わかりやすさ”と“安心感”は、売上に直結する要素なんです。
私が撮影で必ず意識している「切り替えポイント」
私は撮影前に、必ず自分に問いかけます。
「これは作品か?それとも売り場の写真か?」
ポートフォリオ用なら、作品寄りでOK
EC・メニュー・広告なら、迷わず“売れる側”へ
ここを曖昧にすると、
「きれいだけど、売れない写真」になりがちです。
実際、
「前のカメラマンさんの写真、素敵なんだけど売上が伸びなくて…」
というご相談、正直かなり多いです。
どちらが正解?答えは「目的次第」
誤解しないでほしいのは、
目立つ写真が悪いわけではないということ。
大切なのは、
何のための写真か
誰に向けた写真か
どこで使われる写真か
これを最初に決めること。
売り場の写真に、作品性を持ち込みすぎない。
作品に、売り場のルールを押し付けすぎない。
このバランスを判断できるのが、
フード撮影を専門にしているカメラマンの役割だと思っています。
最後に
「目立つ写真」と「買いたくなる写真」は、
競合ではなく、役割が違うだけ。
もし今、
「ちゃんと作っているのに、なぜか売れない」
「写真はいいはずなのに、反応が薄い」
そう感じていたら、一度“写真の目的”を見直してみてください。
写真は、自己表現でもあり、同時に売上をつくる道具でもあります。
どちらを選ぶべきか迷ったときは、
一人で抱えず、ぜひご相談ください。
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