海外では"断面"が重要?日本と海外で違うスイーツ写真の設計
- 笙子 太田
- 2 日前
- 読了時間: 4分
こんにちは。
インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。
最近、海外向けにスイーツを撮りたいというご相談がかなり増えています。
そのたびに話題になるのが、
「日本では美味しそうなのに、海外では反応が弱い」という現象です。
この現象、味の問題でも商品力の問題でもなく、"見せ方の文化差"であることが多いんです。
そしてその差を一番わかりやすく象徴しているのが、「断面」という要素です。
今日は、スイーツ写真における日本と海外の設計の違いを、撮影の現場から解説していきます。
日本のスイーツ写真は「空気感」を撮る
日本の写真文化には、昔から「引き算の美学」があります。
繊細さ、余白、静けさ、上品さ。
和菓子の写真を想像するとわかりやすいと思います。
器との調和を大事にして、余白で季節感を表現する。
洋菓子でも同じです。
柔らかい光、淡い色味、ふんわりとした空気感。
こういった表現が好まれる傾向があります。
つまり日本では、写真を見た人が「きっと美味しいはず」と察してくれることを前提に、写真が設計されています。
「察する美味しさ」が成立する文化です。
海外では「中身を見せる」が基本
一方、海外(特にアメリカ、韓国、中国、東南アジア圏)では、"わかりやすさ"の優先度が格段に上がります。
SNSで人気のスイーツ動画を見ると、割る、切る、伸ばす、流れる、という演出が非常に多い。
理由はシンプルで、「中がどうなっているか」を見たい文化だからです。
断面は単なるビジュアル演出ではなく、"情報"として機能しています。
なぜ海外では断面がここまで重要なのか
理由はいくつかあって、まず一つ目がSNSのスクロール速度の問題です。
訪日外国人観光客の情報収集では、特に若年層を中心に「Googleで検索する前にInstagramで調べる」という行動が当たり前になってきており、SNS上での"見え方"が集客成否を分ける大きな要素になっています。参考) Empowershop
このスクロールの速い世界では、一瞬で理解できるかどうかがすべてです。
断面を見せると、クリーム感、ボリューム、食感、温度感が瞬時に伝わる。
説明文を読まなくても美味しさが伝わる写真が、圧倒的に強いわけです。
二つ目が、"贅沢感の視覚的判断"です。
チーズがどれくらい伸びるか
クリームがどれくらい入っているか
層がどれくらい厚いか
こうした"量感"が価値判断の基準になります。
断面は単なる演出ではなく、「この商品はこれだけ豊かですよ」という価値説明でもあるんです。
三つ目が、食感コンテンツとの相性です。
海外SNSではASMR的な「パリッ」「ザクッ」「とろっ」という食感を楽しむコンテンツが非常に強く、断面を見る→食感を想像する→食べたくなる、という流れがTikTokやInstagramリールで定着しています。
「日本的な美しさ」は海外で伝わらないこともある
少し厳しい話かもしれませんが、これは現場でよく感じることです。
日本では「余白が美しい」が成立します。
でも海外では、余白が「情報が少ない」と受け取られることがある。
ケーキ全体だけ、断面なし、白っぽく柔らかい写真
こういった構成だと、「何が特徴なのかわからない」となってしまうケースがあります。
これは良し悪しではなく、純粋に文化差です。
実際、観光庁「訪日外国人消費動向調査(2024年年次報告書)」によると、訪日外国人が旅行前に役立った情報源の1位は「SNS」で38.9%でした(出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査 2024年年次報告書」)。
海外のお客様は、来日前にすでにSNSでお店を"選んで"います。
その選ぶ場面で何が表示されるかは、写真の見せ方にかかっています。
海外向けスイーツ撮影で私が意識していること
実際の撮影では、断面を最初から設計する、切った瞬間を撮る、層が見える角度を探す、中身の質感に光を入れる・・・
これらをかなり意識しています。
特に大事にしているのが、「何を食べているか」ではなく「どんな体験か」を写真で伝えること。
パリパリ感・とろけ感・濃厚感・ふわふわ感
これらを断面で表現する、という感覚です。
断面は、味覚の翻訳です。
これからのスイーツ写真は「説明できる写真」が強い
インバウンド集客や海外展開を視野に入れるなら、空気感だけの写真では少し弱くなってきているのが正直なところです。
もちろん、日本的な美しさは大きな武器です。
ただそこに、断面、食感、情報量、わかりやすさを加えることで、海外でも"伝わる写真"になります。
日本のスイーツ写真は「雰囲気を味わう写真」
海外向けスイーツ写真は「体験を理解する写真」
この違いを撮影の設計段階から意識できるかどうかが、インバウンド向けビジュアルでは重要になってきます。
何が入っているか、どんな食感か、どれくらい贅沢か。
それを1枚で伝えられる写真を作れるかどうか。その設計が、これからますます問われると思っています。
株式会社Light&Green代表取締役/フードカメラマン 太田笙子
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