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国によって「美味しそう」が違う——写真で伝わる“食文化の温度差”
フードフォトを撮っていると、しみじみ感じることがあります。 それは、 「美味しそう」の基準は国によってまったく違う ということ。 同じ料理でも、日本人と欧米の方、そしてアジアの方とでは、反応が驚くほど変わります。 これは単なる“好み”の違いではなく、文化・歴史・食習慣・美意識の積み重ねが、写真の感じ方に直結しているからです。 今回は、国別の「美味しそう」の特徴を、日本・欧米・アジアの3つに分けてお話しします。 1. 日本 :彩度控えめで、品のよさが“美味しさ”になる 日本の食文化は、味そのものだけでなく「余白」「静けさ」「調和」を美とする側面があります。そのため、写真に求められるのも “彩度控えめ”で“上品な佇まい” 。 ・柔らかい光 ・くすみ系の色調 ・整った盛り付け ・シンプルな背景 こういったものが好まれます。 お皿の上も“盛りすぎない”方が美しい。 どこか控えめで、ふわっとした雰囲気が「丁寧に作られた料理」という印象を作るのです。 日本のメニュー写真で、原色バリバリ・とろみたっぷりのソースがドバッとかかった写真が少ないのは、こうした文化の
笙子 太田
2025年11月23日読了時間: 3分


ラフなスタイリングが「海外っぽさ」を生む理由
— きっちり整えないほうが伝わる、という不思議 — 海外向けにフード写真を撮るとき、「思ったよりラフでいいんですね」と驚かれることがよくあります。もちろん“雑に撮っていい”という意味ではなく、むしろその逆で、計算された“抜け感”が海外の感覚ではとても大事だからです。 日本の飲食店やメーカーさんの写真は、本当に丁寧。 ほぼどのお店もお皿の位置はまっすぐ、具材はきっちり、背景も整っている。ただ——この「整いすぎ」が、海外の方には“リアルに見えない”という壁になってしまうことがあります。 たとえば、パスタの麺が少し乱れていたり、ジュースのしずくがコップを伝っていたり、パンくずがテーブルに数粒落ちている。日本人の美意識だと「撮影前に取ろうかな?」と思う要素ですが、海外ではこれらが“生活感”や“臨場感”としてプラスに働きます。 「これ、いま席に座ったら、こんな感じで出てくるんだろうな」「おいしそう、ちょっと味見したい」 そんな“気持ちの動き”につながるのが、ラフなスタイリングの強みです。 ■ ラフ=適当ではなく、“自然に見えるように整える”こと...
笙子 太田
2025年11月22日読了時間: 3分


シャンパンゴールドとワインレッドに学ぶ、アメリカ西海岸の“食の色気”
その色彩感覚を、フード撮影にどう活かすか (執筆:太田笙子 / Inbound & Global Food Photographer) アメリカ西海岸(カリフォルニア・オレゴン・ワシントン)では、 車のボディカラーとしてシャンパンゴールドとワインレッドが根強い人気です。 「車の好み」と「フード写真」は、一見まったく別の話に思えますが、 実はこの色の選択そのものが “地域の審美眼” を映しており、 インバウンド向けのフード撮影に大きなヒントをくれます。 私は普段、 「日本の食を世界に届けるフードカメラマン」として 海外市場向けの写真戦略を研究しているのですが、 西海岸の色の好みは、食のビジュアルにも非常に相性が良いのです。 1. なぜ西海岸の人は“ゴールド系”を選ぶのか —— 太陽とライフスタイルが作る色彩感覚 カリフォルニアの強い日差しの下で、 シャンパンゴールドは「光と調和する色」として美しく輝きます。 この文化的背景は、あなたの資料でも示されていたように 「海外向け写真は、日本向けよりコントラストと鮮やかさが求められる」 という特徴と一致して
笙子 太田
2025年10月28日読了時間: 4分


瞳の色(濃さ)によってフード写真の見え方が異なる理由
— 世界の視点を踏まえた、インバウンド時代の写真設計 — フードフォトグラファーとして1000件以上の案件に携わってきましたが、海外のお客様向けの撮影をしていると、いつも痛感することがあります。 それは、「同じ写真でも、人によって“見え方”が本当に違う」」ということ。 その理由のひとつが、今回のテーマでもある “瞳の色(濃さ)” です。 インバウンド市場や海外展開を目指す飲食店・食品メーカーにとって、この知識はとても有効です。写真は文化だけではなく「生理的な見え方」さえも影響するからです。 (参考:インバウンド向け写真戦略資料 ) ■ なぜ瞳の色で、写真の印象が変わるのか? 瞳の色は虹彩のメラニン量で決まります。 黒・こげ茶の瞳(日本やアジアに多い) → 光を吸収しやすく、明るい光でも眩しさを感じにくい 青・緑・明るい茶色の瞳(欧米・北欧に多い) → 光を反射しやすく、明るさや白っぽさを強く感じる つまり、 日本人には「ちょうどよく自然」に見える写真が、青い瞳の人には「まぶしい」「白飛び」に見えることがあるのです。 同じ露出の写真なのに、国によ
笙子 太田
2025年8月22日読了時間: 3分


【海外向けフード写真の基本】黒い食材はNG?カラフルな料理が好まれる理由
海外向けに料理写真を発信するとき、「黒っぽい料理」がなぜか美味しそうに見えない…そんな経験はありませんか? 実はそれ、 文化的な“色の心理”の違い が大きく関係しています。 この記事では、海外向けフード写真を撮る際に避けたほうが良い「黒色食材」と、代わりに好まれる「カラフルな色味」について解説します。 ■ 黒い食材が敬遠される理由 日本では「黒」は落ち着き・高級感・深みを表す色。黒豆や海苔、イカ墨パスタ、味噌煮など、黒や焦げ茶を基調とした料理もたくさんあります。 しかし、海外(特に欧米圏)では「黒」は次のようなネガティブな印象を持たれがちです。 ・焦げている/古くなっているように見える ・味が重たそう・消化に悪そうに見える ・暗くて写真映えしない たとえば日本人が「くすんだ青色の食べ物」に抵抗を感じるように、海外では「黒っぽい料理」に“食欲減退の心理”が働くことがあります。 ■ 一方で、好まれるのは「カラフルで明るい」料理写真 海外のSNSを見てみると、人気の料理写真は共通して 明るく・鮮やか・色のコントラストがはっきり しています。たとえば…
笙子 太田
2025年7月17日読了時間: 3分


【海外展開の落とし穴】フード撮影で「和」を出しても海外では響かない理由
~アメリカ・シンガポール・ヨーロッパの視点から~ 「海外に日本食を発信したいから、“和”っぽく撮ろう」そう思って、木の器・和紙・竹のランチョンマット・暗めの照明で撮影していませんか? 実はそれ、海外では思ったほど“伝わっていない”のです。 むしろ「地味」「暗い」「古風すぎる」と感じられてしまうケースが少なくありません。 この記事では、海外展開を目指す飲食ブランドやインバウンド向けレストランが、なぜ“和”を前面に出すと逆効果になるのか、そして国別の傾向を解説します。 ■ 「和の美」は日本人にしか伝わりにくい理由 日本人にとっての「和」は、静けさ・調和・控えめな美。しかし、海外の人々にとってそれは“文化的に理解しづらい美意識”でもあります。 日本の美の根底にある「侘び寂び」や「引き算の美学」は、欧米や東南アジアでは次のように受け取られがちです。 ・「落ち着き」→「地味で寂しい」 ・「控えめ」→「存在感がない」 ・「シンプル」→「写真映えしない」 つまり、日本人が「上品」と感じる写真でも、海外では「何をアピールしたいのかわからない」になってしまうのです
笙子 太田
2025年4月18日読了時間: 3分


日本と海外の「美味しそう」はなぜ違うのか?
― 文化がつくる“視覚の味覚” ― 「同じ料理なのに、海外の人にはあまり美味しそうに見えない」そんな経験はありませんか? 実は「美味しそう」という感覚は、味覚だけでなく、文化や美意識によって作られる“視覚の味覚”*でもあります。つまり、写真や見た目の印象が「美味しさ」の半分以上を決めているのです。 日本人が感じる「美味しそう」=“調和と清潔感” 日本の食文化では、「上品さ」「控えめ」「調和」が美の基準。料理写真でも以下のような特徴が好まれます。 ・光:やわらかく自然光中心、白っぽく淡いトーン ・構図:余白を大切に、全体のバランスを重視 ・色彩:ベージュやグレー、淡いピンクなど中間色が多い この美意識の背景には、茶道や和食の「引き算の美学」があります。 “盛りすぎない”“語りすぎない”中に、想像力を委ねる余白がある。 日本人はそこに「上品な美味しさ」を感じ取るのです。 海外が感じる「美味しそう」=“明快でポジティブ” 一方、アメリカやヨーロッパ、アジア圏の多くの国では、「明るくて鮮やか」「笑顔が見える」「勢いがある」写真が好まれます。...
笙子 太田
2025年3月17日読了時間: 2分


外国人向けメニュー写真では「おこげ」の強調は避けた方が良い理由
日本人にとって「おこげ」は、香ばしさや手作り感の象徴。しかし、 インバウンド(訪日外国人)向けメニュー写真 では、実はこの「おこげ」を強調しすぎると逆効果になる場合があります。 ◆ 理由①:「焦げ」は“失敗”や“苦味”のイメージに見える 欧米圏では、料理の「焦げ」はしばしば“Burnt(焦げすぎ)”と受け取られます。 特にアメリカ・ヨーロッパ圏では「焼きすぎ=苦い=失敗した料理」という印象を持つ人も多く、香ばしさよりも 見た目の“焦げ感”にネガティブな印象 を持たれることがあります。 たとえば鉄板焼きやグリル料理でも、表面が黒っぽく見えると「焦げている」と思われ、避けられることがあります。海外では「Golden brown(こんがりきつね色)」までは好まれますが、それを超える“黒さ”はマイナス評価になることが多いのです。 ◆ 理由②:文化的に「清潔・フレッシュ」な見た目が重視される 外国人の食写真に共通しているのは、 鮮やかで明快なビジュアル です。焦げのような暗色や不均一な焼き目よりも、・フレッシュな色・ジューシーなツヤ・明るい光の中での質感が
笙子 太田
2025年2月24日読了時間: 2分


商品を海外展開するとき、写真で気をつけたい6つのポイント
文化や宗教、色彩感覚、パッケージ表記の違いは、写真の受け取られ方に大きく影響します。 海外向けの商品展開では、写真は「世界に伝わる第一言語」として機能します。 ここでは、実際の海外案件で私が大切にしている6つの視点を、できるだけ自然な言葉でまとめました。 1. 文化的背景と宗教的配慮を理解する 国によって「写していいもの」「避けるべきもの」は異なります。 例えば ・イスラム圏では豚肉やアルコールの表現はNG ・インドでは牛肉は非常に慎重に扱う ・欧州の一部では過度な赤は攻撃的に見える ・中国では白は弔事を連想 色彩の好みや禁忌は国ごとに異なり、同じ料理でも「どんな見せ方が心地いいか」が全く変わります。 海外向けの写真をつくるときは、まず文化と宗教を調べるところからスタートするのが安心です。 2. 食文化の違いを理解する 美味しそうの基準も国ごとに違います。 日本 ・余白 ・控えめな色 ・上品さ 欧米 ・鮮やかさ ・ボリューム ・食べる瞬間のリアクションや笑顔 同じ写真でも、海外の方が魅力を感じるポイントはまったく別のところにあります。...
笙子 太田
2025年1月31日読了時間: 3分


海外展開商品の撮影で欠かせない5つのポイント
— 世界に伝わるビジュアルはこう作る — 日本の商品を海外へ届けるとき、写真が果たす役割は想像以上に大きいものです。 とくに食品分野では、写真=第一印象であり、そこから得られる信頼やワクワク感が、購買行動の前半をすべて左右します。 海外の人にとって写真は“翻訳いらずの言語”。 だからこそ、文化の違いを理解したうえで撮影することが、海外展開を成功させる近道になります。 これは、私がこれまで1000件以上の撮影を担当し、インバウンド向けのビジュアル戦略をまとめた資料の中でも繰り返しお伝えしてきたことです。 今日は、海外展開を考える企業様に向けて、撮影で必ず押さえておきたい“5つのポイント”を、できるだけわかりやすくお伝えします。 1. 視覚的なストーリーテリング 写真の中で一番大切なのは「何を語っているか」。 ただ商品を置くだけの写真は、海外では“情報が足りない”と感じられがちです。 たとえば ・手の動き ・湯気 ・食べる直前のワクワク感 ・温度や空気感 こうした“物語の兆し”が入っているだけで、写真の伝わり方はまったく変わります。...
笙子 太田
2025年1月17日読了時間: 4分


2025年、インバウンドに響くメニュー写真とは
― 世界の視点で“食べたくなる”をつくる ― 2025年、日本を訪れる外国人観光客の市場規模は 6兆円 に達すると言われています。そんな中、飲食店の売上を左右するのが「 メニュー写真の見せ方 」。写真1枚で「食べてみたい!」を生み出せるかどうかが、来店率を大きく左右します。 では、今どんな写真がインバウンドに響くのでしょうか?ここでは、2025年の最新トレンドとともに、「世界に伝わるビジュアル戦略」のポイントを解説します。 1. 高画質・鮮明な写真が“信頼感”を生む 外国人のお客様にとって、メニュー写真は「店の信頼度」を判断する重要な材料。ぼやけた写真や暗い照明は、「清潔感がない」「古い印象」を与えてしまいます。一方で、 高画質でシャープな写真 は、「衛生的で安心できるお店」というポジティブな印象につながります。 2. シズル感で“美味しそう”を感覚的に伝える 湯気、光沢、油のきらめき、断面の瑞々しさ…。こうした「シズル感」は、言葉の壁を越えて“美味しそう”を伝える共通言語です。撮影では、 料理の一瞬の変化を捉えるタイミングと光 が鍵になります。
笙子 太田
2024年12月31日読了時間: 3分


「コンビニっぽさ」から脱却!カタログで企業の個性を引き出す方法
毎月商品カタログを発行されている企業様から、撮影リニューアルのご相談をいただきました。 すでに十分に素敵なカタログなのですが、それでも “もっとよくしたい” と動き始めた理由を伺うと、はっきりとしたテーマがありました。 それが、 「コンビニみたいな雰囲気から脱出したい」 というものです。 コンビニのカタログは完成度が高い。 でも、それゆえに「似てしまう」。 最近のコンビニのカタログは本当にクオリティが高く、情報量も整理されていて見やすいですよね。 ただ一方で、写真の構成や光、色の使い方には “コンビニらしさ” がどうしてもあります。 そして、その方向に寄っていくと── 「既視感がある」「どこかで見たような写真」 になりやすい。 カタログとしては正解でも、企業の個性やブランドストーリーが薄まってしまうという問題が出てきます。 今回ご相談くださった企業様は、まさにこの「没個性」から抜け出したい、と感じておられました。 求めていたのは “モダンで雰囲気があって、土地らしさも残る” そんな絶妙なバランス 「かっこよすぎる」わけでもなく、「コンビニっぽい
笙子 太田
2024年8月18日読了時間: 3分


スタジオでフード撮影をする時に、サンプルは「2〜3個」あると安心な理由
商品を郵送いただいてスタジオでフード撮影をする際、私はいつもお客様に「サンプルは2〜3個ご用意いただくと安心です」とお伝えしています。 これは、こちらの都合ではなく、“より美しい写真をお届けするために必要なこと”だからです。 一見すると、「同じ商品なら1つあれば充分なのでは?」と思われるかもしれません。 でも実際の撮影現場では、サンプルが複数あるかどうかで、仕上がりのクオリティが大きく変わります。 今日はその理由を、できるだけ日常の言葉で丁寧にお伝えしたいと思います。 1. 輸送中のダメージは避けられないから 食品は、思っている以上に繊細です。 パッケージ商品でも、焼き菓子でも、お弁当でも、輸送中の揺れや温度変化で“ごくわずか”に崩れたり、凹んだりします。 写真は「少し気になる」が画面上でははっきり見えてしまう世界です。とくにインバウンド向け・海外展開向けの写真は「清潔感」「完璧さ」が問われるので、 状態の良い個体を選べる選択肢があるかどうか はとても大切です。 2. 撮影中に“差し替え”が必要になることがある 撮影では、角度や光を変えながら、何
笙子 太田
2024年7月28日読了時間: 3分


冷凍食品の撮影で「完全解凍」はNG。美しい形を保つプロのコツ
フード撮影の現場では、食材の状態が写真の仕上がりを左右します。その中でも特に気をつけたいのが、冷凍食品の“解凍の仕方”です。 一見、「しっかり解凍してから撮影した方が自然に見えるのでは?」と思われがちですが、実際には 完全解凍はNG 。むしろ“形が崩れやすくなる危険な状態”なんです。 私もこれまで1000件以上の撮影をしてきましたが、冷凍食品の撮影で仕上がりを大きく左右するのは、ライティングでも構図でもなく、“解凍のタイミング”であることが本当に多くあります。 ■ なぜ完全解凍するとダメなのか? 冷凍された食品には、水分がぎゅっと詰まっています。これが完全に解凍されると、水分が一気に流れ出し、以下のような問題が起こります。 形が崩れやすい (とくにスイーツやフィリング入りの食品) カットがきれいに入らない (断面がべちゃっとする) 表面にぬめりやテカりが出る (ライトで不自然に反射する) 盛りつけても立体感が出ない 一度完全に解凍してしまうと、もう“本来の形の美しさ”を取り戻せません。 冷凍ケーキ、冷凍パイ、餃子、小籠包、冷凍肉、冷凍魚などなど、
笙子 太田
2024年7月17日読了時間: 3分
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