ラフなスタイリングが「海外っぽさ」を生む理由
- 笙子 太田
- 2025年11月22日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年11月25日
— きっちり整えないほうが伝わる、という不思議 —
海外向けにフード写真を撮るとき、「思ったよりラフでいいんですね」と驚かれることがよくあります。もちろん“雑に撮っていい”という意味ではなく、むしろその逆で、計算された“抜け感”が海外の感覚ではとても大事だからです。
日本の飲食店やメーカーさんの写真は、本当に丁寧。
ほぼどのお店もお皿の位置はまっすぐ、具材はきっちり、背景も整っている。ただ——この「整いすぎ」が、海外の方には“リアルに見えない”という壁になってしまうことがあります。
たとえば、パスタの麺が少し乱れていたり、ジュースのしずくがコップを伝っていたり、パンくずがテーブルに数粒落ちている。日本人の美意識だと「撮影前に取ろうかな?」と思う要素ですが、海外ではこれらが“生活感”や“臨場感”としてプラスに働きます。
「これ、いま席に座ったら、こんな感じで出てくるんだろうな」「おいしそう、ちょっと味見したい」
そんな“気持ちの動き”につながるのが、ラフなスタイリングの強みです。
■ ラフ=適当ではなく、“自然に見えるように整える”こと
ラフな写真は、ただ散らかしただけでは成立しません。むしろ、ちゃんと考えないと成立しないジャンルです。
・パンくずの位置が計算されている
・“崩れ方”のバランスが美しい
・食卓の温度が伝わるように影を少しだけ残す
・余白はしっかり取るけれど、空虚にはしない
このあたりは、海外ブランドの広告写真を見ると分かりやすいのですが、驚くほど丁寧に「ラフさ」を作り込んでいます。
整いすぎた写真は、日本では“丁寧”の象徴。でも海外では、整いすぎるほど「広告っぽさ」「予定調和」を感じてしまい、“リアルな魅力”が伝わりにくくなってしまうのです。
■ インバウンド向けには、なぜラフさが必要なのか
訪日外国人のお客様は、写真に“判断材料”としての信頼性を求めます。
Google Mapの写真やSNSで、「本当に美味しそうか?」「ここで食べたらどんな気分になれるか?」を見極めています。
だから、温度や質感、にぎわい、食べる瞬間のワクワク…そうした“生活の空気”が写り込んでいる写真は、とても強いです。
盛り付けに少し動きがあったり、器がすこし斜めに置いてあったり、手が画角の端に入っていたり。それらは全部、海外視点では「誠実な写真」「美味しい証拠」として受け取られます。
■ 日本の企業がやりがちな“惜しいポイント”
・背景や小物を加えすぎて“整いすぎる”
・どの角度からも破綻しないよう、形を完璧にまとめてしまう
・余白を埋めようとして、情報を足しすぎる
・“実際の温度”が伝わらないくらい綺麗にしすぎる
どれも悪いわけではありませんが、海外向けでは逆効果になることがあります。
「完璧に整えた料理写真」は、海外では“本物っぽくない=信じられない”と受け取られてしまう可能性があるのです。
■ まとめ
ラフなスタイリングは、海外の人にとっての“美味しさの記号”。そして、日本のプロだからこそ、その「自然に見えるラフさ」を丁寧に作り出すことができます。
インバウンドの視点で見ると、整えすぎない=伝わるラフさ=信頼感自然さ=美味しさ
という構図が、とても強力です。
海外向けに写真を使う機会があるなら、ぜひ一度「余白のあるラフさ」を試してみてください。ほんの少し整えすぎを手放すだけで、写真の伝わり方が驚くほど変わります。
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