和菓子撮影は「静」を撮る仕事― 余白と文化をどう写すか ―
- 笙子 太田
- 1 日前
- 読了時間: 3分
こんにちは。
インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。
ケーキやジェラートのように“華やか”で“わかりやすい”スイーツと違い、和菓子の撮影は、まったく別の思考が必要になります。
なぜなら、和菓子は「味」だけでなく、季節・余白・静けさ・物語までを内包している食べ物だからです。
今日は、料理カメラマン/食品撮影の現場で私が大切にしている「和菓子撮影の設計思想」についてお話しします。
1. 和菓子は“物撮り”ではなく“文化撮影”
練り切り、羊羹、最中、どら焼き。どれも形は小さく、色も淡く、主張は控えめ。
でも実は、そこには・季節の移ろい・茶道の精神・日本特有の美意識
が凝縮されています。
和菓子をただ白背景で明るく撮ると、「かわいいお菓子」にはなります。
けれど、“日本文化の象徴”としての価値は伝わらない。
私は和菓子撮影をする時、必ず自分に問いかけます。
「これはお菓子ですか?それとも、日本の文化そのものですか?」
この問いが、写真の方向性を決めます。
2. 光は“当てる”のではなく“置く”
和菓子の撮影で最も重要なのは光です。
フード撮影では左からのキーライトが基本ですが、和菓子の場合は特に、光を強くしすぎないこと。
影が強すぎると、繊細な色味が飛び、立体が硬く見えます。
私はあえて光量を抑え、柔らかい階調を作ります。
練り切りの表面のしっとり感。
羊羹の半透明の奥行き。
きな粉の粒子。
それらは強いコントラストではなく、“静かなグラデーション”で見せるのが正解です。
3. 色は「足す」より「引く」
和菓子はカラフルです。
桜色、若草色、藤色、山吹色。
だからこそ、背景や小物で色を足しすぎると、一気に安っぽく見えてしまいます。
例えば、ビビッドな布・派手な漆器・強い原色の敷き紙
これは海外向けには刺さる場合もありますが、日本国内や高級路線では逆効果。
私はよく、墨黒・生成り・淡いグレーを使います。
色を引くことで、和菓子の繊細さが浮き上がる。
これが“静の設計”です。
4. 海外向け和菓子撮影で変えるべきこと
ここで少し、海外視点の話を。
2025年の訪日外国人消費額は約6兆円規模と報告されています(出典:観光庁 2024年発表)。インバウンド市場は明らかに拡大しています。
しかし、和菓子の写真は「日本人向けのまま」出している企業が多い。
海外では、
・サイズ感がわからない
・食べ方がわからない
・甘さのイメージが湧かない
という理由で、購入を躊躇されるケースが多いのです。
私は海外向けの食品撮影では、
・手を入れる・断面を見せる
・抹茶とセットにする
・フォークではなく楊枝を写す
など、使い方・文化背景が伝わる設計をします。
和菓子は「察してほしい」ではなく、「説明する」写真に変える必要があります。
5. 和菓子撮影は、実は難易度が高い
正直に言うと、和菓子撮影はケーキより難しい。
理由はシンプル。
派手さで誤魔化せないから。
誤魔化しが効かない分、光・色・器・余白・影の1mm単位の調整が必要です。
私はこれまで1,000件以上の料理撮影・商品撮影を行ってきましたが、和菓子は毎回、背筋が伸びます。
6. 和菓子を“高く見せる”条件
・余白がある・光が柔らかい・影が美しい・季節が感じられる・文化の匂いがする
この5つが揃うと、和菓子は一気に“作品”になります。
価格帯が上がるほど、写真の質は売上に直結します。
まとめ
和菓子撮影とは、甘いものを撮る仕事ではありません。
日本の美意識を、翻訳する仕事です。
フードカメラマンとして、私はただ“美味しそう”を撮るのではなく、文化を世界に届ける写真を設計しています。
和菓子のブランド価値を、写真で一段引き上げたい方へ。
撮影のご相談はこちらからどうぞ。https://www.foodphoto-shoko.com/contact
食に、物語を。
太田笙子(フードカメラマン)



コメント