なぜ海外では風呂敷がアートとして評価されるのか
こんにちは。インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。
海外向けの商品撮影をしていると、海外のお客様から思いがけない反応をいただくことがあります。
その一つが、風呂敷です。
日本では「物を包む布」というイメージが強い風呂敷ですが、海外では「美しいテキスタイルアート」「サステナブルなデザイン」「日本文化を象徴するアイテム」として紹介されることが少なくありません。
実際に私は海外向けの商品撮影で風呂敷をスタイリングに取り入れることがありますが、日本人が見る以上に、海外のお客様の目を引くことを何度も経験してきました。
同じ一枚の布なのに、なぜここまで受け止め方が違うのでしょうか。
海外の人は「包み方」までデザインとして見ている
日本では、プレゼントを受け取ると中身を開けることに意識が向きます。
しかし海外では、風呂敷で包まれた状態そのものを「作品」として眺める人が少なくありません。
布の柄。
結び方。
余った布の流れ。
色の組み合わせ。
日本人にとっては自然な所作でも、海外の人にとっては「どうやって一枚の布でこんな形になるの?」という驚きがあります。
実際、国際交流基金では海外で日本文化を紹介する展示や文化交流事業を継続的に行っており、贈答文化や風呂敷は、日本人の美意識や思いやりを伝える文化として紹介されています。
つまり海外では、風呂敷は「包む道具」ではなく、「包むという行為そのものを表現したアート」として受け止められているのです。
一枚の布に、日本人の価値観が詰まっている
風呂敷の魅力は、見た目だけではありません。
一枚の布が、ワインも、お弁当も、本も、花瓶も包めます。
使い終われば小さく畳めて、何度でも繰り返し使える。
東京都が実施した「アート&エコ風呂敷プロジェクト」でも、風呂敷は「世界で最初のエコバッグ」と表現され、日本人の知恵や美意識を現代に伝える文化として発信されました。
近年、海外ではサステナブルなライフスタイルへの関心が高まっています。
だからこそ、「繰り返し使う」という風呂敷の考え方そのものが、多くの人の価値観と重なるのです。
日本人にとっては昔から当たり前だったものが、海外では新しいライフスタイルとして評価されているのは、とても興味深いことだと思います。
写真一枚で、風呂敷の価値は大きく変わる
私はフードカメラマンなので、料理と一緒に風呂敷を撮影する機会があります。
そのとき意識しているのは、「布を撮る」のではなく、「文化を撮る」ということです。
例えば、お弁当を包んだ風呂敷。
和菓子を包んだ風呂敷。
贈り物を包んだ風呂敷。
どれも同じ風呂敷ですが、背景や器、季節のしつらえが変わるだけで、「おもてなし」「贈る喜び」「四季を楽しむ心」といった日本文化まで伝えられる写真になります。
海外向けの商品写真では、商品だけを切り抜くよりも、「日本ではどのように使われているのか」が分かる写真の方が、文化的な価値まで一緒に伝えられます。
これは、単なる商品撮影ではなく、日本の暮らしを翻訳する仕事だと私は考えています。
「美しい」のは柄ではなく、考え方なのかもしれない
以前、「フードカメラマンは文化まで学ぶ仕事」という記事でも書きましたが、海外向けの撮影では、料理だけを理解していても十分ではありません。
器や箸、懐紙、風呂敷、季節感など、その背景にある文化まで知って初めて、「日本らしさ」が写真に宿ります。
海外では風呂敷を見て、「きれいな柄ですね」と言う人ももちろんいます。
でも、それ以上に、
「一枚の布でいろいろな物を包めるなんて素晴らしい。」
「包み方にまで意味があるなんて面白い。」
そんな感想を聞くことが多いのです。
つまり評価されているのは、柄だけではありません。
そこに込められた、日本人の考え方そのものなのです。
日本文化は、写真でもっと世界へ伝えられる
私は、海外向けの商品撮影をするたびに感じます。
海外のお客様が求めているのは、「日本製の商品」だけではありません。
その商品が生まれた背景や文化、暮らし方まで知りたいと思っています。
だからこそ、風呂敷を一枚添えるだけでも、写真は単なる商品紹介から、日本文化を伝える一枚へと変わります。
フードカメラマンの仕事は、料理を美味しそうに撮ることだけではありません。
日本ならではの美意識や価値観を、一枚の写真に込めて世界へ届けること。
それもまた、この仕事の大切な役割なのだと感じています。



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