AI時代にも「フードカメラマン」が必要な理由
- 笙子 太田
- 2025年12月6日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年12月9日
結論: 食の専門性と“目利き”は、AIでは置き換えられない
AIで写真が作れてしまう時代になり、
「もうカメラマンはいらないのでは?」
そんな声を耳にすることが増えました。
ただ、私はむしろ逆だと感じています。
“ただ撮るだけのカメラマンは淘汰される”
けれど、
“食の専門性を持ったフードカメラマンはますます必要になる”
というのが、フード撮影の現場で日々仕事をしている私の実感です。
ここでは、なぜ今の時代にこそプロのフードカメラマンが必要なのかを、現場の視点からお伝えしたいと思います。
■ 1. 「撮るだけ」の仕事は、真っ先にAIが代替する
AIは、均一でミスの少ない“正しい画像”をつくるのが得意です。
もし「白背景で商品を撮ってほしい」だけなら、AIで十分に対応できる時代が来るでしょう。
だからこそ、これからのカメラマンに求められるのは、
「構図」+「光」+「色」+「文化的背景」の理解
商品の“魅力の翻訳”
店舗・ブランドの世界観づくり
ターゲット国によって異なる色彩心理の調整
といった “解釈と編集” という専門性です。
AIは便利な道具ですが、
“何を魅力として切り取るべきか”
“どんな世界観がそのブランドの価値を高めるのか”
という判断をすることはできません。
■ 2. 「食の専門性」があるカメラマンは極めて少ない
フード撮影は、写真ジャンルの中でも特に繊細です。
例えば……
冷凍食品は「完全解凍すると形が崩れる」
アイスクリームは「容器の小さな凹みで商品価値が落ちる」
黒い食材は海外では“焦げ”に見える
アメリカ向けは鮮やか、フランス向けは彩度控えめ
湯気は“体験価値の翻訳”になる
カット断面は何ミリ残すと美味しそうに見えるか
こうした“食材のふるまい”や“文化ごとの見え方”を理解し、
料理を最も美しく・正しく伝わる形に整えるのは、実はとても高度な仕事です。
私はこれまで 1,000件以上のフード撮影をしてきましたが、
「料理の本質を理解したカメラマンは、市場に本当に少ない」と感じています。
AIは料理の香りや温度、調理工程の“物語”を理解しないまま画像を生成します。
しかしフード写真に求められるのは、
「料理そのものの背景と感情まで写し取る力」 なのです。
■ 3. カメラは道具にすぎない。価値を決めるのは“人の目”
これは私が撮影講座などでも必ずお伝えしていることですが、
どれだけ高性能なカメラやAIツールを使っても、
それを操る人間の“目”と“感性”が伴わなければ、美味しそうには写りません。
実際、インバウンド消費の現場では
「写真が外国人にとって分かりにくい」
「色が薄くて美味しそうに見えない」
「文化的メッセージが伝わらない」
という理由で、売上が伸びないケースが非常に多いのです。
外国人向けの写真制作については、
アップロード資料のなかでも
色彩・構図・文化背景の違いが明確に売上を変える
ことが示されています。
写真は単なる“写す行為”ではなく、
ブランド価値の翻訳であり、世界へのプレゼンテーションです。
■ 4. AI時代にこそ求められる「フードビジュアルディレクション」
AIが普及するほど、
「誰でも撮れる写真」と「ブランドの価値を上げる写真」の差は、さらに大きくなります。
これからのフードカメラマンに必要なのは
“撮影”ではなく、“設計とディレクション”の能力です。
具体的には…
ターゲット国の色彩・文化を理解した写真設計
ブランドの世界観を整えるアートディレクション
商品の物語を視覚化するストーリー構築
SNS・EC・広告媒体に最適化した画像設計
多言語・多文化ユーザーへの翻訳視点
これは、技術だけではなく「経験値」と「食の読解力」が必要な領域。
AIはここを代替できません。
■ 5. 写真は“翻訳できない言語”。だからこそ、人の手が必要
写真は、世界共通の第一印象です。
そして “美味しそう” の基準は国によって大きく異なります。
だからこそ、
料理の背景を理解し、文化を読み、食材の機微を扱える人間の仕事は
これからも価値が上がり続けると確信しています。
AIが道具として進化したぶんだけ、
プロのカメラマンは
「食を、どう届けるか」
「料理の世界観をどう翻訳するか」
という本質に集中できるようになるはずです。
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