シンガポールは「清潔感」が最優先。背景を白くすると、なぜこんなに評価が上がるのか
- 笙子 太田
- 2025年12月5日
- 読了時間: 6分
更新日:2025年12月9日
シンガポール向けのメニュー写真や広告写真を撮るとき、いちばん意識したいキーワードは「清潔感」です。
同じ料理でも、
・少し暗めの木目テーブル+小物たくさんの写真と、
・白っぽい背景にすっきり置いた写真
このふたつを見比べると、シンガポールのお客様は、ほぼ確実に「白背景で、すっきりしたほう」を選びます。
今日は、インバウンド向けフードカメラマンの太田笙子として、シンガポール市場を意識したときに「なぜ白背景が強いのか」「どんな撮り方が響きやすいのか」を、できるだけ実践的にまとめてみます。
◻︎シンガポールで「清潔感」が最優先される理由
シンガポールと聞いて、多くの方がまず思い浮かべるのが「街のキレイさ」ではないでしょうか。ごみひとつ落ちていない街並み、徹底されたルール、衛生状態への強いこだわり。
この「清潔であること」は、実は食の写真にもそのまま持ち込まれます。
・衛生的に感じるか・安全そうに見えるか・信頼できる店かどうか
シンガポールのお客様は、これらをかなりシビアに写真から判断します。どれだけ料理がおいしくても、写真から少しでも「汚れ」「雑さ」「暗さ」が伝わってしまうと、それだけで候補から外れてしまうこともあります。
私はインバウンド向け写真の講座でも「国や地域によって、好まれる色やトーンが大きく違う」という話をよくしています。写真は世界共通の第一印象だからこそ、その国の文化背景を踏まえた色と明るさの設計が欠かせません。
◻︎なぜ「白い背景」が高評価につながるのか
シンガポール向けに撮るとき、白やごく淡いグレー・ベージュなどの「明るくてニュートラルな背景」は、ほぼ鉄板と言っていいくらい評価につながりやすいです。
理由を分解すると、こんなイメージです。
清潔さと衛生の象徴になる白は「汚れが目立つ色」だからこそ、・シミやほこりがない=きちんと管理されているというメッセージになります。白いテーブル、白いお皿、白いランチョンマットは、それだけで「きれいにしているお店」という印象を強めてくれます。
暑い国だからこそ「軽さ」や「涼しさ」が大事一年中暑いシンガポールでは、重たい色やもったりしたビジュアルよりも、・スッと入ってくる軽やかさ・見ていて涼しくなるようなトーンが好まれます。白背景は、料理に「軽さ」と「クリーンな空気感」を足してくれます。
料理そのものの色が引き立つ白い背景は、料理の色を邪魔しません。赤いチリ、緑のハーブ、照りのあるソースなど、主役の色だけがくっきりと浮かび上がるので、「何が入っているのか」「どんな味がしそうか」が一目で伝わりやすくなります。
◻︎やりがちなNG例:日本人目線でやるとこうなる
日本の感覚だけで写真を作ると、シンガポール向けには少しズレてしまう例も多くあります。
例えば、
・味のある木目のテーブルに、いろいろな小物を敷き詰める・ソースの垂れや、クラムを「ラフでおしゃれ」に散らす・背景に生活感のあるもの(カトラリー、メニュー、伝票など)がたくさん写り込んでいる
こういったスタイリングは、日本の「おしゃれカフェ写真」としてはとても素敵ですが、シンガポールのお客様から見ると、
「ちょっとごちゃごちゃしている」「清潔なのかどうか、少し判断しづらい」
と受け取られてしまうことがあります。
特に、油はねの跡、ソースの飛び散り、テーブルのうっすらとしたシミ、指紋がついたグラスなどは、こちらが思っている以上に「不衛生」に見えてしまうので注意が必要です。
◻︎シンガポール向けに刺さる、白背景の作り方
ここからは、実際の撮影現場で使いやすいポイントをいくつか挙げます。
背景は「真っ白」よりも「少しだけ柔らかい白」撮影用の真っ白なボードも良いのですが、少しだけ温かみのある白(オフホワイト、淡いベージュ)を選ぶと、・病院のような無機質さではなく、・清潔だけれど、温度感のある食卓という雰囲気になります。
余白をしっかり取るお皿のまわりをギュウギュウに埋めず、・一皿一皿に呼吸するスペースを与えるイメージで構図を組みます。余白はそのまま「丁寧さ」や「上品さ」に変わりますし、料理の輪郭もくっきり見せてくれます。
小物は「衛生」「整理されている印象」を基準に選ぶ・真っ白なナプキンをきちんと畳む・ステンレスのカトラリーをまっすぐ揃える・グラスは指紋を拭き取ってから置く
など、「きちんと整えた」状態を写すことで、無意識に「衛生管理が行き届いているお店」という印象を与えることができます。
色の足し方は「ポイントだけ」背景が白いからといって、カラフルな小物をたくさん足してしまうと、一気に雑多な雰囲気になります。・料理そのものの色・ワンポイントのグリーン(ハーブや葉物)・さりげないゴールド(カトラリーや器の縁)
このくらいに抑えると、清潔感を保ったまま、視線をきちんと料理に集めることができます。
◻︎メニュー写真・デリバリーアプリ・SNSでの使い分け
シンガポールのお客様を想定するときは、「どこでその写真が見られるか」も大切です。
・店頭メニュー→ 白背景+上からの俯瞰で、料理が一目で分かる構図が強いです。価格や説明と組み合わせても見やすくなります。
・デリバリーアプリ用→ 小さなサムネイルで見られることが多いので、「白背景+大きめの寄り」で、具材がはっきり分かるカットがおすすめです。
・InstagramやWebサイト→ 白背景をベースにしつつ、時々テクスチャのある白(石目、タイル、リネンなど)を混ぜると、世界観を保ちながら変化も出せます。
いずれの場合も、「清潔に見えるか」「料理が一瞬で判別できるか」をチェックポイントにしてみてください。
◻︎日本のお店が、シンガポール向け写真を見直すときのチェックリスト
最後に、シンガポール市場や、シンガポールからのインバウンドを意識しているレストラン・食品ブランド向けに、サッと使えるチェックリストを置いておきます。
・背景は白〜淡いトーンになっているか
・テーブルやクロスにシミ
・汚れ
・しわが写っていないか
・器の欠けや、カトラリーのくもりはないか
・余白は十分か(料理のまわりに「ぎゅうぎゅう感」が出ていないか)
・ソースの垂れ
・油の飛び散りが「わざと感」ではなく「雑さ」に見えていないか
・料理の色がきちんと出ているか(暗すぎたり、黄ばんでいないか)
このあたりを整えるだけでも、シンガポールのお客様からの「信頼度」は大きく変わります。
◻︎インバウンド視点のフードフォトで、機会損失を減らす
私はフードカメラマンとして、これまで1000件以上の撮影に携わってきましたが、「味もサービスも十分なのに、写真だけが理由で選ばれていないお店」「海外のお客様にもっと届くはずなのに、ビジュアルで損をしているブランド」を本当にたくさん見てきました。
シンガポールは、まさに「清潔感」と「信頼感」で選ばれる市場です。背景を白にするというのは、単なるおしゃれではなく、
・安全そうに見える
・きちんとしていそう
・だから、行ってみよう
・買ってみよう
という心理プロセスをつくる、戦略的な一手でもあります。
インバウンド向け写真や、シンガポール市場を意識したビジュアルを整えたい方は、フードフォトグラファー太田笙子(株式会社Light&Green)にぜひご相談ください。
撮影やビジュアル戦略のご相談・お問い合わせはこちらからどうぞ。https://www.foodphoto-shoko.com/contact






コメント