「美味しい」は“味覚1%”の世界。
- 笙子 太田
- 2024年9月22日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年11月25日
フードフォトグラファー太田笙子が考える、五感で伝える食の魅力
「この料理、美味しそう!」
そう感じた瞬間、私たちの脳はどの感覚を使っているのでしょうか。
実は——
「美味しい」という感覚を構成する“味覚”の割合は、わずか1%。
残りの99%は、視覚・嗅覚・聴覚・触覚といった、ほかの感覚が担っています。
この数字を知ったとき、私はフードカメラマンとしてずっと大切にしてきた“ある確信”がより強くなりました。
「写真は、料理の美味しさの“ほとんど全部”を担うことができる。」
(これは私が海外・インバウンド向け撮影で常に感じることです)
今日は、インバウンド集客を目指す飲食店の方に向けて、
「なぜ“見た目”がここまで大事なのか」を、五感の観点からお話ししたいと思います。
■ 視覚が“美味しさ”のほとんどを決めている
海外の資料でも繰り返し強調されるのは、
視覚情報が購買判断の中心にある という事実です。
インバウンドのお客様は、SNSで写真を何十枚も比較し、
・色の鮮やかさ
・清潔感
・量感
・“楽しそうかどうか”
で来店を決めていきます。
視覚は、料理の温度や香り、音、テクスチャーを想像させ、
味覚の“未来予測”を作り出します。
だからこそフードフォトでは、
湯気の表現
みずみずしさ
とろみの動き
質感(サクサク・カリッ・クリーミー)
器や背景の世界観
こうした細部が、味の“99%”を左右します。
■ 嗅覚・触覚・聴覚は「写真で想像させる」ことができる
「香りが伝わらないのに?」と思われるかもしれません。
でも、実際には写真を見ただけで香りを“思い出す”ことはよくあります。
例えば——
焦げ目のついたグリルステーキを見ると、
目の前でジュッと焼かれている音まで想像できますよね。
ツヤのあるスイーツを見れば、
口の中で溶けていく触感までイメージできます。
こうした「想像を引き出す写真」を作ることは、
味覚1%の限界を補う大切な技術です。
実際、私が講座でお伝えしているフード撮影のコツでも
「五感をどう視覚化するか」は柱として扱っています 。
■ 海外では“美味しい”の基準がもっと多様
インバウンド写真を撮っていて強く感じるのは、
国によって“美味しそう”がまったく違うということ。
欧米:鮮やか・コントラスト強め・動き(とろみ)が好き
アジア:ボリューム・濃い色
日本:控えめ・余白・自然光
こうした傾向は、資料の色彩文化マップにも丁寧に整理されています 。
つまり、
「自分たちが美味しいと思う写真」を撮っても、海外の方には刺さらない
という状況が起こり得るのです。
味覚が1%だからこそ、文化によって“残り99%”の形が大きく変わる。
これがインバウンド写真の難しさであり、面白さでもあります。
■ 写真は“翻訳できない言語”——だから価値がある
資料の中で私が特に好きな言葉があります。
PHOTO = LANGUAGE WITHOUT TRANSLATION
写真は翻訳のいらない言語である。
味覚は言語化しにくいですが、
視覚で伝わる“美味しさ”は、国境を簡単に越えてしまいます。
インバウンドに強い飲食店ほど、
「写真を変えてから予約率が上がった」「SNSの反応が変わった」
という声をいただく理由はここにあります。
■ まとめ
「美味しい」は、味覚ではなく——“視覚が作っている”
味覚は1%
残り99%は視覚・嗅覚・聴覚・触覚のイメージ
海外では「美味しそう」の基準がそもそも違う
写真はそのギャップを超える“国を越える言語”
だからこそ、
海外視点でのフード写真は、売上に直結する「投資」なのだと思います。
フードフォトグラファーとして、
これからも “日本の食を世界へ届ける写真” を丁寧に作っていきたいと思います。
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