懐紙の折り方一つで慶事と弔事が変わる〜フードカメラマンが撮影現場で学んだ日本文化〜
- 笙子 太田
- 7月29日
- 読了時間: 4分
こんにちは。
インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。
撮影では構図ばかり気にしてしまいがちですが、日本文化には「知らなかった」では済まされないルールがあります。
先日、和菓子の撮影をしていたときのことです。
お皿やお菓子の向きはもちろんですが、添える懐紙(かいし)の折り方について改めて確認していました。
すると、「懐紙って折り方にルールがあるんですか?」と驚かれたんです。
実は、懐紙はただの白い紙ではありません。
折り方一つで、お祝いの席なのか、お悔やみの席なのかという意味まで変わってしまうことがあります。
私はフードカメラマンとして和菓子や和食の撮影をする機会も多いのですが、日本文化を正しく理解して撮影することも、大切な仕事の一つだと感じています。
懐紙の折り方で意味が変わる
懐紙は茶道や和菓子の世界で古くから使われてきた紙です。
料理やお菓子を置いたり、取り皿代わりにしたり、口元を拭いたりと、用途はさまざまです。
一見するとどれも同じ白い紙に見えますが、実は折り方には意味があります。
一般的には、上側が手前に重なる折り方が慶事(お祝い)、反対に、下側が手前に重なる折り方は弔事(お悔やみ)として扱われます。
これは祝儀袋や不祝儀袋の折り方と同じ考え方です。
普段の生活では意識することは少ないかもしれませんが、和食店や和菓子店、茶道の世界では大切にされている作法の一つです。
写真は「文化」まで写してしまう
料理写真というと、
「ライティング」「構図」「色味」
といった撮影技術に目が向きがちです。
もちろん、それらはとても重要です。
しかし、和の世界では、それ以上に文化的な正しさが写真に現れます。
例えば、
お箸の向きが逆だったり、
祝い膳なのに水引の向きが違っていたり、
懐紙が弔事の折り方になっていたり。
料理そのものは美しく撮れていても、その写真を見た詳しい方にはすぐに違和感が伝わってしまいます。
特に老舗和菓子店、日本料理店、茶道具メーカーなどでは、ブランドの信頼にも関わるポイントです。
海外に発信するほど、日本らしさは細部で伝わる
私は海外向けの商品撮影も数多く担当しています。
海外のお客様は、日本文化の細かな違いまでは知らないことがほとんどです。
だからこそ、日本側が正しく表現する責任があります。
海外の方は、「日本らしい世界観」を期待して商品を手に取ります。
その世界観を支えているのは、実は派手な演出ではありません。
器の選び方。
お箸の置き方。
季節感。
そして、懐紙の折り方のような、小さな作法です。
こうした積み重ねが、「本物らしさ」や「信頼感」となって伝わります。
私は以前、「海外向け写真では文化を翻訳することが大切」というお話をしました。海外の消費者は写真からブランドの品質や背景まで読み取ろうとします。だからこそ、細部まで丁寧に表現することが、日本の食文化を正しく届けることにつながるのです。
カメラマンに必要なのは、撮影技術だけではない
私は撮影のたびに、新しい食文化や作法を学ぶことがあります。
「目止め」という土鍋の下準備を知ったときもそうでしたし、今回の懐紙もその一つです。
フードカメラマンの仕事は、シャッターを切ることだけではありません。
料理の背景にある歴史や文化を理解し、それを一枚の写真で伝えることだと思っています。
だから私は、撮影現場で「なるほど、そういう意味があったんですね」と学ぶ時間をとても大切にしています。
まとめ
懐紙の折り方は、ほんの小さな違いです。
ですが、その小さな違いには、日本人が長い時間をかけて受け継いできた文化が詰まっています。
料理写真は、美味しそうに見せるだけでは完成しません。
文化や作法まで正しく表現できてこそ、本当に価値のある一枚になります。
だから私は今日も、光の向きだけでなく、懐紙の折り方にも目を向けながらシャッターを切っています。
海外のお客様に日本の食文化を正しく、そして魅力的に伝える料理写真をご検討でしたら、お気軽にご相談ください。



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