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売れる食品には必ず「主人公」がいる

  • 執筆者の写真: 笙子 太田
    笙子 太田
  • 6月15日
  • 読了時間: 5分

更新日:6月16日

こんにちは。インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。


これまで数え切れないほどの食品や料理を撮影してきました。

高級レストランのコース料理。

地方の特産品。

老舗の和菓子。

新しく立ち上がった食品ブランド。

その中で気づいたことがあります。


売れる食品には、必ず「主人公」がいる。

ということです。

もちろんここでいう主人公とは、商品のことではありません。

実は、商品そのものが主人公になっているケースは意外と少ないのです。



商品は脇役かもしれない

食品の紹介というと、私たちはつい商品の特徴を説明しがちです。

糖度が高い。

無添加である。

有機栽培である。

栄養価が高い。

もちろん、それらは大切な情報です。

でも、それだけで人の心が動くとは限りません。


例えば、同じ傷のついたりんごがあったとします。

「規格外のりんごです」

と言われると、少し価値が下がったように感じるかもしれません。


でも、

「去年の猛暑の中、農家さんが必死に守り抜いたりんごです」

と言われたらどうでしょう?

急に見え方が変わりませんか。

応援したくなる人もいると思います。

変わったのはりんごではありません。

知った物語です。

人は商品の特徴だけを見ているのではなく、その背景にある物語に心を動かされているのです。



甘酒の主人公は、甘酒ではなかった

先日、麹甘酒の撮影をした際に印象的なお話を聞きました。

クライアントの方がこんなことをおっしゃったのです。

「もともと甘いものが止まらなかったんです。」

毎日のようにクッキーを食べていた。

チョコレートも好きだった。

甘いものをやめたいと思いながらも、なかなかやめられなかった。

そんな時に出会ったのが甘酒だったそうです。

私はその話を聞いた瞬間に、

「あ、この商品の主人公は甘酒じゃない」

と思いました。


主人公は、その女性です。

甘酒は主人公を助ける存在です。

だから人は、

「米麹100%の甘酒です」

という説明よりも、

「甘いものがやめられなかった女性が出会った甘酒」

という話に興味を持つのです。

なぜなら、その女性の悩みに共感できる人がいるからです。



アメリカの抹茶カフェが探していたもの

先日、アメリカの抹茶カフェから撮影のご相談をいただきました。

私は最初、抹茶商品の撮影だと思っていました。

ところが違いました。

その方が撮影したかったのは、

茶畑や生産者、製茶工程、抹茶が生まれる風景

だったのです。


なぜでしょうか。

それは抹茶そのものではなく、抹茶の物語を伝えたかったからです。

アメリカのお客様は抹茶の成分表を見て感動するわけではありません。

何百年も受け継がれてきた茶文化や、山間部の茶畑、生産者の手仕事に価値を感じています。

つまり抹茶の主人公は抹茶そのものではなく、その土地や生産者なのです。

だからわざわざ日本まで来て、その背景を撮影したかったのでしょう。



海外では「何を作ったか」より「なぜ作ったか」

私はインバウンド向けの撮影をすることが多いのですが、日本と海外では大きな違いを感じます。

日本では、

品質が良いこと、技術力が高いこと、素材が優れていること

を伝えようとします。


一方で海外では、

なぜ作るのか。

誰が作るのか。

どんな土地で作られるのか。

という物語が重視される傾向があります。

例えばワインならブドウ畑。

チーズなら牧場。

オリーブオイルならオリーブ農園。

商品だけではなく、その背景まるごとがブランドになっています。

日本の食品も本来は同じです。

味噌にも。

醤油にも。

日本酒にも。

甘酒にも。

世界に誇れる物語があります。



フードカメラマンは主人公を探している

私はよく、

「料理を撮る仕事ですよね」

と言われます。

もちろん料理も撮ります。

でも最近は少し違う感覚を持っています。

私が撮っているのは料理そのものではなく、その奥にいる主人公なのかもしれません。

料理人が何を考えて作ったのか。

生産者がどんな想いで育てたのか。

開発者がどんな悩みから商品を生み出したのか。

その物語が見える写真ほど、人の心を動かします。

だから私は撮影前のヒアリングが好きです。

商品のスペックを知りたいからではありません。

主人公を探したいからです。



あなたの商品の主人公は誰ですか?

もし食品を販売している方がこの記事を読んでくださっているなら、一度考えてみてください。

あなたの商品の主人公は誰でしょうか。

生産者でしょうか。

料理人でしょうか。

開発者でしょうか。

あるいは、その商品によって人生が少し変わったお客様でしょうか。

売れている食品ブランドには、必ず誰かの顔が見えます。

顔写真があるという意味ではありません。

人生が見えるという意味です。

私たちは商品を買っているようで、実は誰かの挑戦や想いに共感しているのです。

だから売れる食品には必ず主人公がいる。

そしてフードカメラマンの仕事は、その主人公を見つけて、写真で伝えることなのかもしれません。



#食に、物語を。

フードカメラマン 太田笙子


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