クリスマスケーキ撮影は夏から始まる。12月の商品なのに、なぜ8月に撮るの?
- 笙子 太田
- 6月14日
- 読了時間: 5分
こんにちは。インバウンド・海外展開特化のフードカメラマン、太田笙子です。
先日、ある撮影現場でお客様と雑談をしていた時のことです。
「この時期になると毎年いちごを探しているんですよね。」
何気なくそうお話ししたところ、お客様がとても驚いた表情でこうおっしゃいました。
「え?いちごですか?今6月ですよね?」
たしかに普通に考えればそうです。
スーパーにいちごが並ぶのは冬から春にかけて。6月にいちごを探していると言われても、不思議に思うのは当然です。
でも、フードカメラマンの世界では実は珍しい話ではありません。
なぜなら、クリスマスケーキの撮影は夏から始まるからです。
今日は、あまり知られていないクリスマス商戦の裏側についてお話ししたいと思います。
お客様がクリスマスを意識する頃には、すでに準備は終盤
一般のお客様がクリスマスケーキを意識し始めるのは10月から11月頃ではないでしょうか。
街にイルミネーションが増え始め、百貨店やホテルのクリスマスケーキ予約が始まる頃です。
しかし、その頃に撮影をしていては間に合いません。
クリスマスケーキの写真は、撮影後にさまざまな用途で使われます。
ECサイトの商品ページ、予約カタログ、ポスター、SNS投稿、広告バナー、プレスリリースなどです。
撮影が終わったあとには、デザイン制作や印刷、Web制作といった工程が待っています。
そのため逆算すると、撮影は7月から8月頃に行われることが少なくありません。
真夏の暑い時期に、クリスマスソングを流しながらケーキを撮影している。
実は食品業界ではよくある光景なのです。
夏になると始まる「いちご探し」
私が毎年この時期になると探し始めるのが、クリスマスケーキ用のいちごです。
クリスマスケーキと聞いて、多くの方が思い浮かべるのは真っ赤ないちごが飾られたショートケーキではないでしょうか。
ところが、夏はいちごの旬ではありません。
市場に出回る量も限られていますし、撮影に使えるほど形が整っていて色艶の良いものを見つけるのは簡単ではありません。
(ちなみに先日の撮影では「夏いちご」を大阪から取り寄せました)
もちろん撮影する商品によっては別のフルーツを使うこともあります。
それでも「クリスマスらしさ」を表現するためには、やはりいちごが必要になるケースが多いのです。
だから私たちは、まだ世の中が夏休みの計画を立てている頃から、
「今年はいちごが確保できるだろうか」
「どこの仕入れ先に相談しようか」
と考え始めています。
お客様が驚かれたのも無理はありません。
でも、食品業界では季節を何か月も先取りして動くことが当たり前なのです。
フード撮影は「料理を撮る仕事」ではない
クリスマスケーキ撮影で難しいのは、ケーキを美味しそうに撮ることだけではありません。
真夏に冬を作ることです。
撮影現場では、
「家族で過ごすクリスマスの夜」
「プレゼントを開けるワクワク感」
「雪が降る季節の特別な食卓」
そんな空気感まで写真の中で表現します。
しかし現実には、スタジオの外は35度を超える猛暑日だったりします。
だからこそ、フード撮影では季節感を演出する小物選びや色使い、光の設計が重要になります。
私は普段、海外向けの食品撮影も行っていますが、人は写真を見た瞬間に「どんな味がしそうか」「どんな体験ができそうか」を無意識に想像しています。
写真は商品の説明ではなく、期待感を作るための入り口なのです。
クリスマスケーキは写真を見て予約される商品
レストランなら来店して料理を見ることができます。
スーパーなら実際の商品を手に取れます。
しかしクリスマスケーキは違います。
多くの場合、お客様は実物を見る前に予約をします。
つまり、購入の判断材料は写真です。
だからこそ、
生クリームがなめらかに見えるか。
いちごが瑞々しく見えるか。
断面の美しさが伝わるか。
特別な日にふさわしい高級感が感じられるか。
そうした要素が売上に大きく影響します。
同じケーキでも、写真によって受け取られる価値は大きく変わるのです。
実はクリスマスだけではない
この話はクリスマスケーキだけではありません。
おせち料理は夏の終わりから秋にかけて。
バレンタイン商品は秋頃。
春限定スイーツは真冬。
食品業界では常に次の季節を撮影しています。
私たちフードカメラマンは、季節の少し先を生きている仕事なのかもしれません。
夏にクリスマスを撮り、秋にバレンタインを撮り、冬に春を撮る。
そんな毎年の繰り返しの中で、多くの商品が店頭に並ぶ前の姿を記録しています。
まとめ
「この時期になると毎年いちごを探しているんです。」
何気ない一言に驚かれたお客様との会話から、改めて感じたことがあります。
食品業界では、お客様が商品を目にする何か月も前から準備が始まっています。
クリスマスケーキ撮影もそのひとつです。
真夏のスタジオで探し回ったいちごが、冬には予約カタログの表紙を飾る。
そんなことも珍しくありません。
もし今年のクリスマス商戦を成功させたいと考えているなら、準備は思っているより少し早めがおすすめです。
実はその売上勝負、もう夏には始まっているのです。
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太田笙子|フードカメラマン海外市場に伝わる「食」のビジュアル設計を行っています。



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