アイスクリーム撮影は「時間との戦い」
- 笙子 太田
- 2月18日
- 読了時間: 4分
― カップがシワシワになる前に、勝負は始まっている ―
暑い季節に限らず、アイスクリームの撮影は一年中ご依頼をいただきます。
ですが、正直に言うと——フードカメラマン泣かせの被写体のひとつです。
溶ける。
汗をかく。
そして、カップがシワシワになる。
今日は、アイスクリーム、とくに「カップアイス」の撮影現場で私が必ずお伝えしているポイントをお話しします。
なぜカップがシワシワになるのか?
紙製や薄いプラ製のカップは、冷凍状態から常温環境に出した瞬間、急激な温度差で結露が発生します。
撮影中はライトの熱も加わりますから、
・表面が波打つ
・水滴でロゴが歪む
・質感が安っぽく見える
ということが起きやすいのです。
ECや広告用の食品撮影では、パッケージの美しさはブランド価値そのもの。
少しの歪みで「管理が甘い商品」に見えてしまうこともあります。
私はこれまで1,000件以上の料理撮影・食品撮影を行ってきましたが、アイスは特に“準備8割”の被写体だと感じています。
解決策:中身の入っていないカップを用意する
これ、意外と知られていません。
「空のカップを別で準備していただく」これだけで、現場のスピードとクオリティが格段に変わります。
理由はシンプルで、
ロゴ面を綺麗な状態でキープできる・結露による歪みを防げる・盛り直し作業が圧倒的に早いからです。
実際の撮影では、
本物のアイスを一度少し緩める
スプーンで空カップに丸く盛り直す
形が整った瞬間に撮影
という流れをとります。
この“形が整った瞬間”は、本当に数十秒の勝負です。
「盛り立て感」は自然には生まれない
冷凍庫から出したままのアイスは、実は意外と平ら。市販状態のままだと、“量が少なく見える”こともあります。
そこで必要なのが、少し緩めて、丸く、空気を含ませるように整える技術。
これは温度管理と手早さが命です。
緩めすぎると艶がなくなり、固すぎると綺麗な曲面が出ない。
ほんの数分の違いで、仕上がりはまったく変わります。
だからこそ、空カップに盛る方法はおすすめなのです。
焦らず、形を作り、ベストな瞬間でシャッターを切れるからです。
海外向け撮影ではさらに重要
私はインバウンド・海外展開特化のフードカメラマンとして活動していますが、海外向けビジュアルでは「量感」と「立体感」が非常に重要です。
日本向け写真は、整っていて控えめでも成立します。でも海外市場では、
・しっかり盛られている
・高さがある
・スプーン跡に動きがある
そうした“豊かさ”がないと弱く見えてしまいます。
以前まとめたインバウンド向け写真戦略資料でもお伝えしていますが、文化ごとに「美味しそう」の基準は違います …
アイスの丸み、光沢、影の入り方ひとつで、「高級ジェラート」にも「量産カップアイス」にも見えてしまうのです。
現場でのリアルな話
以前、空カップが用意されていなかった現場がありました。
盛り直すたびにカップが柔らかくなり、ロゴが歪み、撮影の合間に冷凍庫へ何度も戻す…という繰り返し。
結果、撮影時間は予定より1時間オーバー。
逆に空カップを事前に用意いただいた現場では、撮影は予定より30分早く終了しました。
この差は大きいですよね。
アイスクリーム撮影で押さえるべき3ポイント
空のカップを必ず準備
盛り直し用に少し多めのアイスを用意
撮影環境の温度管理(冷房+ライト配置)を事前設計
プロの料理カメラマン/フードカメラマンの仕事は、ただ撮ることではありません。
「溶ける前提で設計すること」。
それが、売れる写真につながります。
アイスクリーム撮影をご検討中の企業様へ。EC用・SNS用・広告用で、必要なカット設計も含めてご提案しています。
インバウンド向け・海外展開を視野に入れた食品撮影も対応可能です。
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太田笙子フードカメラマン株式会社Light & Green
写真は、温度も時間もコントロールする仕事。だからこそ、1カットの裏側に、設計があります。



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